イベント実施報告

第4回東京グローバル・ダイアログ

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2月21日

【パート2】ウクライナ紛争の衝撃:(2) 経済

ロシアのウクライナ侵略がもたらした、エネルギー・食糧・肥料を中心とする資源の世界的な供給不安と価格高騰など、広範囲に及ぶ経済面の影響と見通し等について議論された。

過去30年進展してきたグローバル・サプライチェーンは世界経済の相互依存を深め、繁栄と脆弱性の両方をもたらしたが、各国・各地域において危機の影響の現れ方は異なると指摘された。ロシア・ウクライナに主要穀物を依存してきた中東・アフリカ地域をはじめグローバル・サウスの国々は、コロナ禍以前からの複合危機、特に食糧不安という打撃を受けており、ロシアの天然ガスに依存してきたEUは今年の暖冬で救われた面があったとはいえ、グリーンエネルギーへの移行を突く形でエネルギー安全保障が揺さぶられる状況となっていることが説明された。

食糧とエネルギー双方で、危機対策として供給元の多角化や輸出制限への歯止めといった短期的対応が求められるが、同時に中・長期的な構造変化を推進するため、気候変動に対応したレジリエンスの強靭化やネットゼロ化に必要な技術開発と投資を加速化させるべきとの意見が表明された。脱ロシアの流れで莫大な利益を得ている他の石油・ガス輸出国が、構造変革に向けて積極的に投資することへの期待が示された。エネルギーと食糧を繋ぐ視点(食糧生産に必要な燃料、脱炭素に繋がるグリーン・アンモニウム等)の重要性や、インフラ投資や貯蔵をめぐる国際協力の枠組みの構築、さらに現時点では国際社会にとって未知の課題に対しても柔軟に対応する必要があるとも指摘された。国際社会はマルチラテラルな協力を強化してこの危機を乗り越えていく必要があるという認識が共有された。

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