JIIA -日本国際問題研究所-

就任挨拶

日本国際問題研究所 軍縮・科学技術センター
所長 戸崎 洋史

2021年8月1日付で、日本国際問題研究所軍縮・科学技術センターの所長を拝命致しました。

軍縮・不拡散、科学技術を巡る状況は、重要な局面を迎えています。米露を中心に展開してきた核軍備管理は、米国との戦略的競争が激化する中国も含めた多国間の枠組みへの移行が求められています。核兵器禁止条約の成立によって顕在化した核軍縮のアプローチを巡る国際社会の分断は、依然として緩和の兆しが見えません。北朝鮮やイランの核問題は解決がますます困難になりつつあります。こうした中で、核兵器不拡散条約(NPT)を中心とする核不拡散体制の再活性化が喫緊の課題です。核保有国による核戦力近代化が加速する中で、包括的核実験禁止条約(CTBT)の下での核実験監視活動の重要性が高まっています。さらに、人工知能(AI)や量子技術など新興技術の発展が安全保障に及ぼす含意といった問題への対応も急務となっています。

唯一の戦争被爆国である日本は、そして世界は、この難局における軍縮・不拡散、科学技術の諸課題に、いかに対応していくべきか。シンクタンクとして、調査・研究、提言、国内外への発信、人材育成に引き続き積極的に取り組むことで、そうした難題にわずかでも答えを見出していければと存じます。ご理解とご支援、ご指導のほど宜しくお願い申し上げます。