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中華人民共和国における主要な政治アクターは、「共産党」「国家」「人民解放軍」の3つに大別できる。この内、現行憲法上(82年公布)、「国家」の最高権力機関であり、最高の立法機関と規定されているのが、「全国人民代表大会(以下、全人代と略)」である。全人代は、度々日本の国会に相当するものとして説明される。但し、中国は三権分立ではなく、全ての権力を立法府に集中させる議行合一(行政・司法が立法府に従属するシステム)を採用している。これが、全人代が「最高」の権力機関とされる所以である。その職能には、国家主席や国務院総理などの選出の他、憲法の改正、法律の制定、国家計画・国家予算の審査・承認等がある。

全人代は、各地方レベルの人民代表大会で選出された代表が一堂に会し、毎年3‐4月頃、2‐3週間の会期を以って、北京の人民大会堂において開催される。次回全人代は、2003年3月5日に開幕することが決定しているが、今後5年間にわたって「国家」の舵取りをする第10期代表が選出されるため、注目を集めている。現行憲法は、「国家」人事の任期を1期5年とし、3選を禁じている。過去数年、上記の主要な政治アクターの全てにおいて最高位にあり、昨年11月の党大会にて党総書記の座を引退した江沢民は、国家主席を既に2期10年務めているため、次期大会においてその地位を胡錦涛現国家副主席に委譲すると目されている。その他、朱鎔基国務院(日本の内閣に相当)総理の後任には温家宝国務院副総理、国家副主席には曽慶紅政治局常務委員の起用が有力視されている。

全人代は、建国以来、錯綜する「党」・「国家」関係の中で、その役割を充分に発揮してきたとはいえない。全体会議は65年1月、常務委員会は66年4月以来、74年まで開かれなかったし、その後も70年代末までは国家の重大案件について、全人代で討議が加えられた形跡も乏しい。過去幾度か実施された憲法改正の際には、その職能に党による制限が明記されたこともあったし、なによりも代表中の党員比率は、一貫して高い割合を占めてきた。それ故に、全人代は、中国共産党或いはその意向を受けた国務院(いわば日本の内閣)の指示・提案をそのまま満場一致で採択する「ゴム印会議」などと揶揄されてきた。

このような「党の代行主義」による全人代の機能不全は、80年代以降の「民主と法制」「依法治国」の掛け声の下、若干の改善が見られる。現状において全人代を完全に党から独立した機能を持たせることは不可能であるが、ある程度まではその職能を分担していこう、というのが現在の方針のように思われる。このような意識は広く共有され、全人代の活動は依然形式的ではあるものの、議案によってはその場で棄権・反対票が投じられることも珍しくなくなった。中でも、腐敗汚職摘発報告を中心とする最高検察員報告への採決には、毎年多くの反対票が投じられ、腐敗の摘発の現状に根強い不満があることを窺い知ることが出来る。


(アジア太平洋研究センター研究員 飛鳥田麻生



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