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0 0   WTO農業交渉

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WTOの枠組みにおいて21世紀の農産物貿易ルールを決めるもので、2000年3月から開始され、2005年1月1日の交渉終結期限に向け(他分野を含む)包括一括受託を目指しWTO加盟国間で交渉されている。

GATTウルグァイ・ラウンド農業合意によって、加盟国は1995年から2000年までの6年間を実施期間として、自国の農業政策に関し保護水準を引き下げることを約束している。これについてWTO農業協定20条は、「農業貿易の改革過程は継続中」として、この実施期間の終了1年前から次の交渉を開始することを規定しており、現行の農業交渉の根拠となっている。

本農業交渉はその開始以来、以下の3つのフェーズを経過している。
(1) (2000年3月〜) 各国が交渉で達成すべき目標等を「交渉提案」として提出
(2) (2001年1月〜) 各国の交渉提案につき、質問を通じ内容の明確化を図る
(3) (2002年 3月〜) 詳細な議論を通じ、「モダリティ(modality:自由化、補助金の削減方法やその程度)」を策定する。
当初のスケジュールでは、2003年 3月末にモダリティを決定し、同年秋の第5回閣僚会議(メキシコ)にて各国が包括的譲許表を提出する予定。だが後述の通り、2003年3月末時点で加盟国間の合意形成がならずモダリティの決定に至っていない。

農業交渉の分野は以下のとおり。
●市場アクセス:関税率、ミニマム・アクセス水準の設定。包括的関税化の達成、途上国の輸出関心品目の輸出拡大(無税・無枠の供与など)
●国内助成:国内で交付できる補助金に関し、対象品目範囲、補助金総額の削減
●輸出競争:農産物輸出に交付する補助金の削減、輸出信用に関するルールを策定
●季節性があり、腐敗しやすい農産物への新たなセーフガードの仕組みの創設
●国家貿易の透明性向上
●多様化する論点:食品の安全性、環境保護、特許等の権利保護など。具体的には、遺伝子組み替え食品の表示問題、狂牛病、口蹄疫などの疾病、地理的表示、知的所有権の保護などが含まれる。ただしこれらは主として、「貿易と環境」、「市場アクセス」、「TRIPS協定」などの他の交渉分野にて扱われる。

農業交渉のアクターは、以下のように利害を共有するグループに区分される。これらグループの対立する利害によって、交渉の展開が遅れている。
●「ケアンズ・グループ」(カナダ、オーストラリア、NZ、チリ、アルゼンティン、ウルグァイ、タイ、フィリピン、フィジー、南アフリカ等の18カ国):輸出補助金を交付しない農産物輸出国で構成され、一層の農産物貿易の自由化を主張している。
●「多面的機能フレンズ」(日本、EU、韓国、ノルウェー、スイス、モーリシャスが中心):「無秩序な農産物貿易の自由化」に反対。農業が有する「多面的機能(環境保全、景観維持、地域社会の維持など)」の確保を重視。ケアンズ・グループはこれを「保護主義の隠れ蓑」として警戒。
●途上国グループ(インド、パキスタン、エジプト、ドミニカ共和国、ケニア、タンザニア等のアフリカ諸国、及びカリブ、大洋州諸国)。グループ内での立場は多様だが、自国農産品の輸出拡大、自国農業の保護(関税の維持、食料安全保障の確保)、先進国による農業保護政策(国内助成、輸出補助金の交付)の撤廃等、一定の共通性がある。
●米国:農産物輸出国であるが、ケアンズ・グループには入っていない(輸出補助金制度、自国農業の保護のための補助金を交付)。ただし市場開放、EUに対する輸出補助金の撤廃を要求する立場はケアンズ諸国に近い。

(アジア太平洋研究センター研究員 渡邉松男

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