イベント実施報告

第2回東京グローバル・ダイアログ

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2月27日

分科会 III-1: 米中競争と北東アジアの安全保障

本セッションでは、米国および中国を主語として語られる傾向が強い北東アジア情勢を、両国の「狭間」に置かれた立場の国々の視覚から再照射し、地域秩序についての示唆を得ることを目的に、日本・韓国・台湾の有識者が討論を行った。

討論は朝鮮半島と台湾、東シナ海の現状分析と、米中関係の動向、特にバイデン新政権への移行がそれらにどのような影響を及ぼすのかを中心に進められ、北朝鮮については経済的苦境の中でも政治的に安定していることから体制崩壊の可能性は低く、また対米交渉への期待が維持されているため当面は抑制的かつ「内向き」の姿勢を持続するが、米新政権が動かなければ再び挑発もあり得るとの見方が示された。

台湾については、米中対立の下で地政学的な位置づけとハイテク・サプライチェーンにおける重要性が増しており、米台接近の傾向はバイデン政権期においても続くとの指摘もなされた。そして東シナ海については、中国の特徴といえる複合的かつ持続的なアプローチが端的に適用されており、現体制の権力基盤強化のためにも、中国は現状変更の試みを続けるとの評価が下された。

その上で、中国が主導的に行動を起こす傾向が続き、なおかつ米国のリソースが逓減する状況で地域情勢を安定的に維持するためには、域内各国には朝鮮半島・東シナ海・台湾・南シナ海を一体的にとらえる視点と、各国間の様々なイシューに分離対応する柔軟性、そして国内における関連部署間の疎通から安全保障分野以外も含む多様な国際的連携の強化、キャパシティ・ビルディングへの貢献に至る重層的な関係構築の姿勢が必要になるとの点で、登壇者の見解は一致を見た。

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