イベント実施報告

第2回東京グローバル・ダイアログ

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2月27日

分科会 III-2: 領土問題/法の支配への影響

本セッションでは、インド太平洋地域の戦略環境の変容を念頭に、日本とその周辺で直面する領土・海洋問題と法の支配の確保について議論した。

冒頭、日本の領土問題等に触れつつ日本におけるヨーロッパ近代国際法上の「国家領域」概念の受容過程が紹介され、国際法の「平和的変更」の考え方に基づいて国際法をより時宜にかなうものとしながら法の支配を維持することの重要性が述べられると、別のパネリストは、本年2月1日より施行された中国の海警法が国際法の根拠を欠くような活動に国内法上の根拠を与えており、国内法による国際法に基づく秩序への挑戦と考えられることを指摘した。また別のパネリストは、南シナ海における中国の行為について、2016年の比中仲裁判決(本案)以降も周辺国に対する力による威圧と現状変更の試みが続いていること、フィリピンや米国による対応が説明され、法の支配の強化のために、日本をはじめとする国々が東南アジア諸国と協力する必要がある旨を述べた。これに応えて、あるパネリストは、中国の行為の重大性が見過ごされている旨を主張するとともに、価値を共有する国々が法の支配と国際法に基づく紛争の平和的解決の徹底のために協力していること、日本の役割が重要であることを具体例に即して紹介した。

本セッションでは、第一に、中国との長い歴史的関係にある日本が、法執行により現在の緊張関係に対応すべきこと、第二に、中国の一方的な領域の現状変更が、東シナ海でも南シナ海でも安全保障上の強い懸念を生じ続けていることが認識共有された。それゆえに、法の支配の確実な実現のためには、本日のパネリストが反映した多角的な視点からの対応が不可欠である。

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