イベント実施報告

第2回東京グローバル・ダイアログ

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2月27日

クロージング全体会合:インド太平洋の明日と国際社会の対応

クロージング全体会合においては、米中対立の性格とインド太平洋地域への影響、及びこれに対応する地域諸国の様々な取組みを中心に議論が進んだ。米中対立の性格については、経済・軍事面におけるパワーバランスのシフトと中国による国際秩序への挑戦にその要因を見出す立場、中国の政治体制--特に共産主義と共産党の問題--を重視する見方、さらに、権威主義と資本主義の融合による中国の経済成長を重視する視点などに立って、活発な議論が行われた。中国が地域的覇権を求めているとの見方には疑問も示されたが、その言動に照らして判断すべきとの反論もあった。

米中関係の緊張は、技術を巡る競争やサプライチェーンのデカップリングにつながることに加え、意図せざる軍事紛争が突発する可能性も米ソ冷戦期より高いのではとの懸念が示され、リスク回避の重要性が強調された。グローバルイシューでの米中協力が両国間関係全般に及ぼすポジティブな影響については、多くの登壇者は懐疑的であった。日本は、競争と協力のダブルトラックで対中関係をマネージしていくとの見方も示された。

地域諸国の取組みについては、域外国を含む民主主義諸国間の協力推進の必要性や、QUADやFOIPにみられるルールに基づく開かれた多国間主義の重要性が強調され、こうした取組みにおける日本の役割が高く評価された。これに対し、「インド太平洋」は分断を進めるものであり、協力的な「アジア太平洋」が重要との意見も示された。困難さが増す地域情勢の中でのASEAN中心性の意義も強調された。

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