イベント実施報告

第2回東京グローバル・ダイアログ

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2月26日

分科会 I-3: 新型コロナパンデミック及びマルチラテラリズムの危機

分科会3においては、新型コロナパンデック、気候変動などの地球規模課題の挑戦に対して、国際的な枠組みや先進国・途上国の協力が機能したか、あるいはしなかったか、そして今後どうあるべきかを中心に議論が進んだ。多国間主義が危機に直面している一方、パンデミックの対応において現場では協力体制が機能を発揮した事例が見られ、そうした基盤が構築されていることの重要性が指摘された。

アジアでは、2003年のSARSを教訓として、早期対応のための情報共有および各国の能力強化に取り組んできたものが今回一定の成果を挙げた。世界的平等なワクチン供給体制として、複数の国際機関が協力をしてCOVAXを立ち上げた。一方で、WHOの初期対応の遅さが指摘され、国際保健規則の見直しとともに、未知のウイルスに対する専門的知見による判断を早めるための体制強化の必要性も指摘された。ワクチン供給では、需要に対する供給不足で、途上国への供給の遅れ、またワクチン接種の段階での物流インフラの未整備などの課題があることが指摘された。

気候変動では、米国でバイデン政権が誕生し、カーボンニュートラルへの取組みの加速やパリ協定への復帰は明るい面である。一方で、途上国を含めて世界のGDPや人口が拡大する局面において、パリ協定の目標を現実的に達成するのは極めて困難であるとの見方が示された。拘束力のある国際協定や、市民や消費者の行動変容などボトムアップの方策が不可欠であると指摘された。炭素税導入についても議論がなされ、透明性かつ公平な競争性のある制度の構築、自由貿易の阻害、外交上の報復措置として濫用される危険性があることが指摘された。

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