イベント実施報告

第2回東京グローバル・ダイアログ

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2月26日

分科会 II-3: 欧州の視点

分科会3:欧州の視点では、米中対立を背景とするインド太平洋地域における欧州の戦略的変容と、日欧協力の可能性と制約を中心に議論が交わされた。すべての登壇者が欧州諸国とEUにとってのインド太平洋地域の重要性の高まりを指摘する一方、日欧の対中脅威認識と戦略環境の相違、地域的な安全保障枠組みの欠如から、同地域における欧州の安全保障アクターとして位置づけには懐疑的な見方も示された。

中国と対峙する上で、いかにして日欧は人権などの規範的価値と経済的利益とを調和しうるかという問題提起には、G7などの多国間枠組みを活用することの可能性、5Gなどの先端技術の規制空間を共同で作り上げる必要性が指摘された。また、経済的利益と規範的価値の問題は不離一体であること、さらに、中国による影響が文化や大学に及ぶなか価値や規範をめぐる協調的戦略が欠如していることへの危機感が示された。

日欧協力におけるインド太平洋概念の象徴的意義と、象徴に留まることの限界も議論された。登壇者からは、FOIPのような曖昧な理念的協力ではなく、G7やG20の加盟国拡大、QUADやE3などの地域間相互協力を通じた具体的な行動の必要性が指摘される一方、インド太平洋概念を中心に実際に欧州で戦略的変容が生じている点も強調された。その中で、ビジョンに留まることなく、協調行動を通じて積極的にアジェンダを推進していく重要性が確認された。

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