イベント実施報告

第3回東京グローバル・ダイアログ

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3月3日

激化する米中競争(2):海洋

米中の戦略的競争の地政学的側面に焦点を当て、2022年に両国関係がどのように展開していくか、特に台湾海峡情勢の趨勢とウクライナ情勢が東シナ海に与える影響について議論された。

米中関係の悪化について、中国が米国の国力の相対的な衰退を好機ととらえて覇権を目指していることが原因と考える米側の見方に対して、中国側は米国が中国の台頭を恐れて関与から競争へと一方的に舵を切ったことが原因とみていると論じられた。本質的に大陸国家である中国の海洋進出が地域の勢力均衡を崩し、海洋国家である日米と対立しているとの地政学上の問題意識も指摘された。米中双方とも二国間協力の必要性は感じているが、対立は構造的なものと理解しており、短期的に両国関係が改善する見通しは示されなかった。

ウクライナ情勢の東アジアへの含意について、西側諸国の結束と自由を求める民衆の力を指摘しつつ、台湾への軍事力による威嚇を再考するようにうながす立場に対し、台湾問題は中国にとって核心的利益であることを強調し、武力による統一を選択肢として放棄しない見解が強調された。ロシアによるNATOの東方拡大への懸念に対する理解や、古い冷戦構造にとらわれているとする西側諸国への批判も示された。

日本が防衛力の大幅な向上を目指していることに関しては、国家安全保障戦略の見直しに合わせて、地域の平和と安定のために日本がより大きな責任を担うことへの期待が表明された。一方、特に核共有は地域の安定を脅かすとして批判する意見も述べられた。

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