イベント実施報告

第3回東京グローバル・ダイアログ

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3月3日

国際社会の対応(2):価値と技術

米中対立を背景として、価値と技術がどのようにこの対立に影響を与えているのか、あるいは与えていないのか、を中心に議論が進められた。

価値と技術が常に結び付くわけではないが、米中競争の文脈ではデータや情報の自由な流通など、技術が特定の価値とリベラルな秩序に結び付いていることが指摘された。中国の技術開発モデルや中国発の監視技術を歓迎する国もあり、中東を含めて普及が進んでいることが議論された。こうした中で、中国主導の国際ルール形成への懸念と民主主義諸国によるサプライチェーンの重要性が強調され、日本による経済安全保障の強化が必要であることが指摘された。一方、ルールに基づく国際秩序は何を意味するか明確でなく、技術協力は各国の価値を巡る立場の違いを超えて行われてきたとの指摘もあった。技術政策は主として戦略的利益と商業的目的に基づいており、価値ではないという見方も提示され、データ流通やルール形成では、西側内部でも各国の制度や立場の違いが大きいとの指摘があった。

各地域、個人によって価値のとらえ方が異なる中で、法の支配などの基本的ルールを受け入れることがデータ共有などの信頼の基盤となるとの意見、価値は静的なものではなく変化し得るが社会や人間にとって必要不可欠であるとの見方、世界はリベラルな民主主義と権威主義という二つのグループに明確に二分されるわけではないとの意見、非国家主体の役割の重要性に関する指摘も示された。

ウクライナ情勢を巡っては、制裁を受けてロシアは西側以外の国々、特に中国との技術協力を一層進め世界の分断が進むとの見方が示された。多国間体制の改革の必要性も指摘された。

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