イベント実施報告

第4回東京グローバル・ダイアログ

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2月21日

【パート1】米中競争とインド太平洋:(2) 経済

経済安全保障をめぐる米中のせめぎ合いがインド太平洋地域の経済・貿易体制に与えている影響と見通し、日本を含む地域のプレーヤーが自由貿易体制の維持・強化にいかに貢献できるかについて議論が進められた。

経済統合の時代から経済安全保障の時代に変化した一方、地域の経済発展をもたらした自由貿易体制への各国のコミットメントは強いとの認識が共有された。米国がサプライチェーンの強靭化及び国内産業強化の観点から進める政策(CHIPS法、Quadやインド太平洋枠組み(IPEF)を通じたフレンドショアリング)が取り上げられた。中国は米国との政治・安全保障の対立に直面しつつ、CPTPPやRCEPを通じて自由貿易体制の推進に役割を果たすことが重要との意見があった。一方、中国の経済的威圧などの動きへの懸念も示された。

ASEANは様々な地域の枠組みを通じてASEAN中心性を発揮しており、グローバル・サウスをリードする役割を担うべきとの意見があった。WTOを中心とする多国間貿易体制は機能不全に直面しているが、不確実性が高まる中で、ルールや透明性を確保する重要性は一層高まるとの指摘もなされた。デジタルガバナンスにつき、自由なデータの流通と公共政策の目的がトレードオフの関係にある中、地域的なルール形成や、安全保障上の例外措置のあり方が議論された。

日本、ASEAN、豪州を含む地域のプレーヤーが果たす役割として、CPTPPやRCEPを活用して地域の自由貿易体制を再構築していくこと、特に日本はFTA、デジタル協定、IPEFなどの複数の枠組みに参加するユニークな立場にあり、橋渡しの役割を果たすべきとの期待が表明された。

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