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2018年12月、改革開放40年記念式典で習近平国家主席は、「改革開放」を1921年の中国共産党成立、1949年の中華人民共和国成立とならぶ「三大歴史的事件」と位置づけ、その重要性を強調した。とはいえ今後、改革開放がどのような道をたどるのか、不透明感は強まりつつある。
習近平は自らが高く掲げる「民主」「自由」「法治」(「社会主義核心価値観」)を、実際のところ意にかけていない。政治面においては、民主化が訪れる兆しはなく、かつて鄧小平が独裁の歯止めとして設けた国家主席の任期制限という装置すら取り外された。経済面においては、2018年秋にインターネット空間に現われた「経済金融評論家」の議論(「中国の私営経済は、すでに任務を達成したので、そろそろ立ち去るべきだ」)にみるように、習近平の本当の目的は、再び毛沢東時代の社会主義計画経済を復活させることではないかとの観測が流れている。
グローバリゼーションの波に中国も飲み込まれているにもかかわらず(あるいはそうであるがゆえに)、「中華文明の復活」なるスローガンが提起され、中国独自の道とその普遍化という国粋主義的な議論が強まっているのではないか。そのような「中体西用」論的指向が強まりつつあるとすれば、昨今の米中関係の緊張は容易に緩和されることだろう。
本特集では、このような現在の中国が直面している諸課題を念頭に置きながら、過去40年間における中国の歩みを政治、経済、法制度、および対外政策の各側面から再検討する。
焦点:改革開放40年の中国
国際問題月表
焦点:「国際機関で生み出される国際問題」(仮題)
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◆編集委員会:遠藤貢(東京大学 大学院総合文化研究科教授)、奥脇直也(東京大学名誉教授)、古城佳子(東京大学大学院・総合文化研究科教授)、高橋伸夫(慶應義塾大学教授)、中山俊宏(慶應義塾大学 総合政策学部 教授)、深川由起子(早稲田大学大学院経済学研究科教授) (50音字順)