出版

「国際問題」電子版 (ISSN:1881-0500)

12月
2018年12月 No.677
電子版

 米国における中間選挙の接近と共に、いよいよトランプ政権の通商政策の暴走が始まった。中国やEUなど各国の応酬で貿易戦争に発展した場合には年末にかけて世界経済を大きく混乱させる可能性がある。自動車業界を筆頭に米国は、トランプ政権周辺が考えるよりも長いグローバル・サプライ・チェーンの効用を享受しているため、米国の産業界からの反発次第で暴走はその方向性や速度に予測性、一貫性を欠き、これがさらなる混乱を招く懸念が現実化しつつある。
 WTO提訴の頻発はWTO体制そのものを揺さぶるが、支える勢力は存在しない。EUは依然として内部結束の危機に直面し、中国はIT関連を除いたプルリ協定に未参加で途上国型経済協力以上のリーダーシップをとれず、自身にもリーマンショック時のような政策余地を残していない。
 ルールや支え手を欠いた保護主義の蔓延はとりわけサプライ・チェーンの拡大に乗って経済発展を遂げる一方、エネルギーや食糧の対外依存度の高い東アジア地域(日本を含む)には一段と大きな脅威と言えるだろう。年末号として2019年を展望するうえでも貿易の行方は極めて重要で、貿易戦争の行方とそれが世界に与える影響、WTO体制へのインパクト、中国における対応などを検討する。

焦点:岐路に立つ自由貿易

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