出版

「国際問題」電子版 (ISSN:1881-0500)

| 7·8月 |
2019年7·8月合併号 No.683
電子版
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次世代通信技術(5G)の到来は、産業構造のみならず人々の暮らす社会や内政、国際競争、安全保障に至るまで極めて幅広く、大きな変革をもたらしつつある。スマート社会は人類を長年の苦役から救うかもしれないが、他方で人工知能(AI)による労働市場激変の兆しもある。
ネット社会は便利な生活を加速する一方で、極端な情報を通じて社会や政治を分断させ、民主主義の基盤を揺るがしているという議論が存在する。中国など新興勢力は技術体系の大転換を奇貨として一気に米国など先発国へのキャッチアップや市場覇権奪取を目指すが、他方でWTOなど多国籍機関による調整は遅々とし、新しい技術を織り混んだ国際ルールや競争条件の調和は困難が続く。さらにサイバー空間ではデータ奪取や相手をさまざまな機能停止に追い込むサイバー攻撃が次元を超えたリスクをもたらすようになり、伝統的な安全保障の枠組みさえもが大きく変化するとみられている。
サイバー社会の変化はそれが大規模で急激であることのみならず、極めて複雑で多様な影響を生み出しながら進んでおり、正負共に予想外の事態を生み出す可能性が高い。中国企業の副会長逮捕をめぐる米中摩擦で始まった2019年はその皮切りの年として記憶されることになるかもしれない。
本特集では以上の問題意識により、5G時代のサイバー社会が内包する可能性とリスクの双方に幅広く接近することに焦点を当て検証する。