第7回東京グローバル・ダイアログ ブレイクアウトセッション 新たな核秩序か秩序なき核の時代か?核大国間の戦略的関係の行方

ブレイクアウトセッション『新たな核秩序か秩序なき核の時代か?核大国間の戦略的関係の行方』
本セッションは、チャタムハウス・ルールの下、非公開で実施され、概要以下の議論がなされました。
国際システムが新たな核の時代へ移行しつつあるのか、それとも戦略的な無秩序が長期化する局面にあるのかをテーマに、活発な意見交換がなされた。まず、冷戦終結後の核をとりまく環境を支えてきた前提が、大きな圧力にさらされているとの認識で一致した。米中露間の競争激化、従来の軍備管理体制の機能低下、地域安全保障上の課題、新興技術の影響力拡大に焦点が当てられ、とりわけこれらが抑止、エスカレーション、戦略的安定に及ぼす影響について議論が行われ、さらに以下のような見解が示された。
冷戦期に核の秩序が安定していたという認識は、当時、核拡散リスクや激しい競争の中にあったことを考えると、回顧的な錯覚に過ぎない。しかし、今日、世界の核をめぐる環境は実質的により不安定になっている。この予測不可能性の背景には、通常兵器による侵略と限定的な核の脅威を組み合わせるロシアの動き、2025年の印パ危機のような最近のエスカレーション、そして二極体制時代のルールを拒否する新たな核超大国としての中国の台頭がある。
その結果、この新たに出現した三極体制の現実の中で、米ロ間で構築されてきた軍備管理体制は持続不可能になっている。将来の軍備管理の取り組みは、すぐに野心的な条約を追求するのではなく、米中核リスク軽減センターの設立など、実践的で実現可能なステップを優先しなければならない。同時に、ロシアが意図的に紛争の境界線を曖昧にし、攻撃的な核のレトリックを常態化させていることで、核による威圧が激化している。さらに、ウクライナによるロシア領内への大胆な攻撃や、イランによるイスラエルへの大規模な攻撃に裏付けられるように、非核兵器国も既存のレッドラインを試すようになっている。
この複雑な環境において、米国の拡大抑止は依然として重要な核不拡散のツールであるが、その全体的な信頼性は曖昧な政治的シグナリングによって損なわれている。地域によって、抑止の論理は大きく異なる。欧州では、フランスと英国の取り組みがNATOを補完し、ロシアの戦略的計算を複雑にしている。逆に、海洋中心のインド太平洋地域では、中国の中距離ミサイルの優位性に効果的に対抗するため、長射程の通常兵器による打撃能力と、柔軟なハブ・アンド・スポークスの同盟システムが求められている。