第7回東京グローバル・ダイアログ セッション3 経済力と国際秩序を見据えた経済安全保障戦略の再構築

セッション3『経済力と国際秩序を見据えた経済安全保障戦略の再構築』
本セッションでは、米中戦略競争の激化や経済的威圧・経済の武器化の広がりを背景に、経済安全保障をめぐる論点につき議論が行われました。半導体、重要鉱物、AI、電池、EV、ロボティクス、医薬品等は、成長産業であると同時に各国の戦略的優位を左右する基盤として位置付けられ、経済安全保障と国家安全保障は一体化している点が指摘されました。
米国では、中国との大国間競争を背景として、産業政策、輸出管理、対内投資審査、国防生産法の活用など、国家が市場へ積極的に関与する政策が強化されており、こうした傾向は政権交代後も継続する可能性が高いとの見方が示されました。
欧州においては、中国による過剰供給や補助金、産業政策、経済的威圧等に対応するため保護は不可欠で、より実効性の高い貿易措置や産業政策が急務であり、その際に友好国に打撃を与えないよういかに例外を作るかや、米通商法301条の欧州版の導入案も議論されていることが指摘されました。
日本は早期から経済安全保障に取り組んできたが、経済競争は今や資源調達、部素材・加工、市場からデータやAIに至る産業エコシステム全体へと移行しているため、中国の巨大経済に対処できるよう、同志国・パートナー間で需要を束ね市場規模を高めるなど、商業的にも政治的にも持続可能な代替性を確保することの重要性が強調されました
韓国の視点からは、グローバル化で相互依存が高まり、低減努力に限界のある国としては対象を絞り、核となる分野をきちんと管理していくことが望ましく、核となる分野は何かを超大国が管理することが求められる時代であるとの指摘がありました。
議論全体を通じて、市場に任せては解決せず、戦略目的を長期的に達成するために国が関与する必要がある点につき一致し、依存を排除すべき分野は、防衛産業、重要インフラ、半導体、重要鉱物、医薬品など、安全保障上不可欠な分野について優先し、レジリエンスを強化すべきであるとの見解が示されました。また、経済的威圧に対抗する手段にあらかじめ合意しておくことも梃子とできるのではないかという見解、事態のエスカレーションも計算する必要があり威圧が機能しない抑止としての規模の確保がむしろ重要ではないかとの見解も示されました。
同志国が「信頼できる市場」を構築し、重要分野ごとに共通の基準、需要創出、支援措置、備蓄、調達ルール等を組み合わせた新たな協力枠組みを形成する必要性が指摘されました。また、WTOやCPTPP等の既存のルールを活用しつつ、不確実性に対応するため政府・企業双方の能力を高め、共有された課題を具体的な共同行動へと結び付けていくことが今後の重要な課題であるとの認識でも一致しました。
