第7回東京グローバル・ダイアログ セッション4 不確実性時代における日本のグランドデザインを目指して

セッション4『不確実性時代における日本のグランドデザインを目指して』
本セッションでは、当研究所が昨年から明年にかけて実施中の国家戦略プロジェクトの論点を共有し、日本の外交・安全保障、経済安全保障、科学技術、国際秩序、地域連携の在り方について幅広い議論が行われました。
冒頭、プロジェクトの目的に関し、日本を取り巻く安全保障環境の悪化、人口減少、低成長、財政・社会保障への不安といった国内課題が複合的に進行する中、外交・安全保障、経済、科学技術、社会政策を横断する一貫した国家戦略を構築する必要性に言及し、JIIAと読売新聞が実施した世論調査を踏まえ、国民の間で将来への不安や人口減少に対する危機感が高まる一方、法の支配に基づく国際秩序、自由貿易、気候変動対策に対する支持が広く共有されていることが紹介されました。
討論では、米国主導の自由で開かれた国際秩序が変容する中、日本は日米同盟を外交・安全保障の基軸としつつ、自らの防衛力、経済力、技術力、情報力を一層強化するとともに、欧州、ASEAN、フィリピン、豪州、インドなどの同志国との協力を拡大していく必要があるとの認識が共有されました。また、中国の台頭や米中関係の不確実性、南シナ海・台湾海峡情勢、国際機関や国際法をめぐる課題についても議論が行われました。
東南アジアの視点からは、反グローバル化の進展や関税・貿易障壁の拡大、地政学的緊張が地域経済へ影響を及ぼす中、ASEANと東アジアの経済統合の維持・発展とともに、サプライチェーンの強靱化やRCEP、CPTPPなどルールに基づく経済連携を推進する重要性が指摘され、日本につき高い信頼性、技術力、制度構築能力を有するパートナーとして地域から大きな期待が寄せられていることが示されました。
欧州の視点からは、リベラルな国際秩序の後退や民主主義の停滞、米国政策の不確実性を踏まえ、日本には中国の台頭を長年にわたり間近で見てきた経験を国際社会と共有し、その戦略的含意を発信する役割が期待されるとの見方が示されました。また、日本が国際機関やルールに基づく秩序を一貫して支持することにより、国際的なガバナンスと信頼を支える重要な存在となり得るとの認識が共有されました。
議論全体を通じて、日本は日米同盟の強化を基盤としつつ、防衛力、経済安全保障、科学技術・AI、デュアルユース技術などの戦略的能力を強化するとともに、信頼、透明性、公平性を重視した外交を展開していくことが重要であり、「戦略的自律性」と「戦略的不可欠性」を高めながら、同志国との連携を一層深化させ、国際秩序の安定と地域の繁栄に主体的に貢献していくべきである旨が示されました。
