第7回東京グローバル・ダイアログ セッション6 米国の変貌と国際秩序:世界と日本の選択

セッション6『米国の変貌と国際秩序:世界と日本の選択』
本セッションでは、米国が政治・社会・外交の各面で大きな転換期を迎える中、日本をはじめとする各国がどのように対応すべきかについて議論が行われました。トランプ現象を一時的な逸脱と捉えるべきか、それとも米国社会に根差した構造的かつ長期的な変化と捉えるべきか等について建設的な議論となりました。
パネリスト間の議論では、トランプ氏個人の予測困難性や取引重視の姿勢が指摘される一方で、米国社会における内向き志向、反エスタブリッシュメント感情、自由貿易への懐疑、同盟国への負担分担要求などは、政権交代後も継続し得る長期的な潮流であるとの認識が示されました。また、米国は孤立主義へ回帰するわけではないものの、同盟や国際秩序を価値や理念だけでなく、自国の利益を実現するための戦略的手段として位置付ける傾向を強めているとの見方が共有されました。
米中関係については、米中が共同で国際秩序を運営する「G2」ではなく、双方がそれぞれの勢力圏の形成を目指す国際秩序となる可能性が議論されました。また、中国は巨大な市場、製造力、技術実装力、ナラティブ形成力に強みがあることを自覚しており、それらを背景に影響力を拡大する一方、不動産市場の低迷、人口動態の変化、雇用不安、経済の不透明性といった構造的課題も抱えているとの認識が示されました。そのため、中国は強大である場合にも脆弱である場合にも国際社会にとってリスク要因となり得ることから、軍事面のみならず、グレーゾーン活動、サイバー、経済的依存、政治的影響力の行使など、多様な手段による圧力への対応が重要であると指摘されました。
グローバルサウスについては、その表現そのものが不適切だとの見解に基づき、経済成長を背景に主体性を高める多様な国々として捉えるべきであるとの見解が示されました。これらの国々は、サプライチェーンや市場の多元化を通じて国際秩序の安定に寄与する可能性がある一方、中国製AIや低コスト技術への依存を通じて新たな影響圏に組み込まれる可能性も指摘されました。
議論全体を通じて、日本は日米同盟を一層強化し、米国にとって信頼できる不可欠な同盟国であり続けるとともに、自由貿易、法の支配、国際制度の維持・強化やグローバルサウスとの協力を通じて、勢力圏を基調とする国際秩序がもたらす影響を緩和していくことが重要であるとの認識が共有されました。その上で、日本には、変化する国際環境に柔軟に適応しつつ、ルールに基づく国際秩序を維持・強化する「適応」と「抑制」を両立させた戦略が求められるとの方向性が示されました。
