第6回東京グローバル・ダイアログ 第2セッション

本セッションでは、二度の世界大戦と冷戦を経験した20世紀の歴史をたどり、現在の日本と国際社会が直面する課題について検討された。
まず、20世紀の東アジアにおける国際秩序について、「日本の敗戦」「戦後の正義」「戦争の遺産」という三つの視点で論じられた。過去に関する解釈は変化し続けるものであり、東アジアでは歴史が政治的に利用されることがある。それゆえ、歴史をめぐる問題に決着をつけることは難しいが、現在と将来の努力を積み重ねることで、和解につながる可能性が指摘された。
次に、1890年代から2008年ごろまでの「長い20世紀」における国際構造の変化を概観したうえで、日本にとっての教訓が検討された。19世紀末の工業化の進展によって、日本・米国・インド・中国などの国々が台頭したが、20世紀半ばからの金融・通貨のグローバル化によってこのような時代は終焉へと向かい、2008年が大きな節目となった。現在のわれわれは「20世紀の終焉の終焉」を目撃しており、日本はあらためて国家戦略を考える必要があるとされた。
最後に、グローバル・ヒストリーの視座から、現在の日本が直面する課題をどのように理解することができるかについて議論された。1919年のパリ講和会議において日本が提示した「人種差別撤廃案」を事例として、日本の行動が及ぼし得るインパクトはグローバルなものであり、それに自覚的である必要性が指摘された。
フロアからも、安定した国際秩序の再構築には発展途上国を包摂する必要があり、その点にこそ日本が果たし得る役割があるのではないかという議論が提示された。また、近代以降の歴史を長期的に俯瞰すると、過去の大戦に匹敵するような紛争が近い将来起こる兆しがあるのか等、歴史のアナロジーで考える論点が出された。
