第6回東京グローバル・ダイアログ 第4セッション「国際の平和と安全におけるAI(人工知能)」

第6回東京グローバル・ダイアログ 第4セッション「国際の平和と安全におけるAI(人工知能)」

第4セッション「国際の平和と安全におけるAI(人工知能)」

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本セッションでは、AIの急速な進展に伴う安全保障上の課題について議論された。米ソ(露)間では、新興技術の急速な発展により非対称性が生じても、それが単独で戦略的均衡を崩したことは少なく、AIの普及が非対称的優位性(enduring asymmetrical dominance)を長期的にもたらすことはないと分析された。しかし、目標(targeting)やISRで大きな効果をもたらすことで「持てる者」と「持たざる者」の格差を拡大させるリスクがあり、国際的な安全保障環境が悪化する可能性が憂慮されると述べられた。

また、AIの軍事利用、とりわけ核兵器の運用に関しては、人間の関与(human in the loopまたはhuman control)を維持することが不可欠であり、AIの可能性を最大限に活かしつつも、人類の安全を確保するための監視と制御が優先事項であるとの認識が共有された。特に核兵器の使用に関しては、引き続き人間の監視を維持することが優先事項であり、この点に関して国際的な合意が形成されつつあるとの指摘があった。人間の監視に焦点を当てた議論は、AIに関する二国間および多国間の議論でますます重要となっており、市民の保護を確保するための努力が必要であると強調された。

戦略的な領域では、AIが機会の源となり得ることもあり、ウクライナ軍によるAIの使用が示すように、戦場での精度の高いターゲティングを改善する可能性があるとの指摘があった。AIの持つ持続可能な開発への可能性についても認識され、国際的なフォーラムがその機会を最大化するために不可欠であるとの認識が示された。

大国以外の国連加盟国は、AIを始めとする新興技術を使いこなすことができず、その発展において機会よりもリスクを感じており、AIに関する異なる視点を共有するために、多国間の包摂的なフォーラムが不可欠であるとの認識が示された。AIの共同ガバナンスはまだ形成段階にあり、今後の多国間枠組みはAIの課題に公正かつ効果的に対応するためにできるだけ包括的であるべきとの指摘があった。また、急速に進化する技術の前で謙虚で柔軟な姿勢を保ち、その予測不可能な面が多く残ることを認識する重要性が強調された。