第6回東京グローバル・ダイアログ 最終セッション「グローバル・アーキテクチャーの再構築は可能か」

これまでの議論を踏まえ、トランプ政権2.0の外交政策がグローバルガバナンスに与える影響、国際社会のレスポンス、そして日本の役割について議論が行われた。
自国第一主義を掲げるトランプ第二期政権は、国連外交、多国間貿易、気候変動といった多国間主義の国際秩序にコミットすることには消極的であり、国際的な関与よりも自国の利益が常に優先され、二国間関係を中心とするより取引的(transactional)なアプローチへとシフトする。また、政権の中核にはイーロン・マスク氏をはじめビジネス界のリーダーが多く起用されていることも特徴であり、国家安全保障・経済外交の新たな方向性を形作る可能性があることが指摘された。また、トランプの「アメリカ・ファースト」政策は孤立主義ではなく、自国の利益に基づいた選択的関与を意味し、そうした国際環境下では、各国はより自律的な戦略と負担のシェアリングが求められるとの見方が示された。また、戦後の国際秩序が弱体化していく中、地域主義とミニラテラリズムに代表される代替的な国際枠組みに注目をすべきであると指摘がなされた。
日本の国際的役割について、国際環境の変化に応じた新たな国際枠組みと既存の国際システムの橋渡し役としての重要性が増している。米国との連携を強化すると同時に、東南アジア・インド・欧州等との国際枠組みでの連携を強化すべきであり、安全保障連携ではQUAD等の枠組み、経済連携ではCPTPP等の枠組みを通じて、地域の安定を主導する立場を強めるべきであるとの示唆があった。そのためには、伝統的な経済力や軍事力だけでなく、非伝統的なソフトパワーを戦略的に活用する重要性についても指摘があった。
