APECプロジェクト・ワークショップの開催「高齢化時代における構造改革、デジタル化、生産性および労働移動の影響」

APECプロジェクト・ワークショップの開催「高齢化時代における構造改革、デジタル化、生産性および労働移動の影響」

APECプロジェクト・ワークショップの開催(JIIA大会議室、2026年2月26-27日):
「高齢化時代における構造改革、デジタル化、生産性および労働移動の影響」をテーマとするAPECプロジェクト・ワークショップ(Project Overseer:菊地朋生・早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授)が、2026年2月26日から27日にかけて日本国際問題研究所において対面形式で開催されました。APECエコノミーの専門家、政策実務者、またASCJ、ABAC日本の参加者含め、約30名が参加しました。

本ワークショップは、APECにおいて人口減少・高齢化に直面するエコノミーが増えつつあり、AIによるデジタル化や労働移動を通じた生産性向上と持続的成長の実現に向けた構造改革が優先課題となっていることから、デジタル化の推進、人材育成、労働移動の円滑化に関する政策課題の検討およびベストプラクティスの共有を行いました。

1日目は、吉田朋之・日本国際問題研究所所長による歓迎挨拶、渡邊繁・外務省経済外交担当大使による開会挨拶に続き、林玲子・国立社会保障・人口問題研究所理事長による基調講演が行われ、人口動態の変化が経済社会に与える構造的影響について問題提起がされました。続くセッションでは、日本のイノベーション・バリューチェーンに関する報告に加え、CGEモデルを用いたシミュレーション分析が提示され、デジタル化や労働移動が生産性に与える影響について定量的な検討が行われました。また、マレーシアやタイ、韓国の事例報告を通じて、各国における労働市場調整や人材政策の実態が共有され、デジタル化と人材育成の相互関係が議論されました。

2日目には、女性の労働参加やスキル形成、技術適応に関する特別セッションが設けられ、包摂的な労働市場の構築に向けた課題が取り上げられました。さらに、米国、カナダ、チャイニーズ・タイペイの事例を通じて、移民政策やスキル開発、労働市場制度の違いとその政策的含意が比較検討されました。最終セッションでは、APECにおける協力に向けた政策提言が議論され、人口動態の変化に対応するためには、デジタル化の推進、人材育成、労働移動の円滑化を一体的に進める必要があるとの認識が共有されました。

本ワークショップでは、少子高齢化がもたらす労働力制約に対し、技術革新と制度改革を組み合わせた包括的な対応の重要性が確認されるとともに、各国の経験を踏まえた実証的・政策的知見の共有を通じて、APEC域内における協力の方向性が示されました。プロジェクトの最終成果は『APECレポート』として公表される予定です。