第8回アレクサンダー・C・クッシング国際法会議の共催

第8回アレクサンダー・C・クッシング国際法会議の共催

2026年6月8日から9日にかけて、日本国際問題研究所は、米国海軍大学校ストックトン国際法センター(U.S. Naval War College Stockton Center for International Law)および韓国海洋戦略研究所(Korea Institute for Maritime Strategy)とともに、第8回アレクサンダー・C・クッシング国際法会議をソウルにて共催いたしました。

国際法・海洋政策分野の研究者や実務家が集う本会議は、海洋安全保障をめぐる諸課題を多角的に議論する場として毎年開催されており、防衛実務における法の適用を通じた「法の支配」の確立と、国家間の共通理解の促進を目的としています。

今回の会議では、グレーゾーン事態、海底インフラの法的保護、技術革新、安全保障協力、深海底鉱物資源探索、海上自律型無人船舶(MASS)に加え、ホルムズ海峡をめぐる最新情勢の法的評価や東アジアへの影響について意見交換が行われました。

当研究所は、海洋における「法の支配」に関する議論を促進するため、3名の有識者の登壇を支援し、それぞれ重要な発信を行いました。

基調講演を行った徳地秀士・平和安全保障研究所理事長は、領土編入をめぐる一方的な現状変更の試みの顕在化をはじめとして地域横断的に「ルールに基づく国際秩序」が揺らぐ中、東アジアの安定に向けて日米韓協力の制度化が不可欠であると強調しました。

黒﨑将広・東北大学教授は、無人技術の発展に伴い「軍艦」や「海軍補助船」の概念が変容している現状を指摘し、将来の海上武力紛争に適用されるルールの特定・再定義の必要性を論じました。こうした定義の不明確化は、恣意的な法解釈やグレーゾーン戦略への利用につながる可能性があります。

また、山本勝也・笹川平和財団戦略・抑止グループ長兼主任研究員は、国際法の「二重基準(ダブルスタンダード)」の問題を取り上げ、国際海峡や周辺海域における一貫性を欠く法解釈が、「航行の自由」をはじめとするUNCLOSの原則を内側から弱体化させ、法の支配に基づく海洋秩序を揺るがす危険性を指摘しました。

当研究所は、3氏の登壇支援を通じて活発な議論を喚起するとともに、領土問題とも密接に関わる海洋秩序上の重要課題への理解促進に取り組みました。