JIIA グローバル・アウトリーチ・センター 設立1周年挨拶、振り返り

JIIA グローバル・アウトリーチ・センター 設立1周年挨拶、振り返り

日本国際問題研究所(JIIA)グローバル・アウトリーチ・センター(CGO)所長の山田滝雄です。CGO設立1周年にあたり、これまでの歩みを振り返りつつ、ご挨拶申し上げます。

日本を取り巻く国際環境がますます複雑化する中、日本の考え方や主張を国際社会に発信する力を強化することを目的としてCGOは、多くの皆様からのご支援を得て、昨年10月1日に設立されました。

この1年を振り返りますと、10月1日の設立セミナー、11月の設立記念シンポジウムを皮切りに、以下の3つを柱として活動を展開してまいりました。
1.    戦略的対話の促進と日本の専門家の海外派遣
2.    日本からの知的発信の強化
3.    グローバル人材の育成

第一の柱である「戦略的対話の促進と日本の専門家の海外派遣」では、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の提唱10周年を年間テーマに掲げ、3つの主要な戦略対話の機会を設けました。

第一は、3月にマニラでStratbaseと共催したシンポジウムです。日本、フィリピン、米国、インドをはじめとする各国の第一線の専門家を招き、「自由で開かれたインド太平洋の海洋領域をいかに守るか(How to Safeguard the Maritime Domain for the Free and Open Indo-Pacific)」をテーマに、活発な議論を行いました。

その後、5月2日には、高市早苗総理大臣がベトナム・ハノイで演説を行い、「進化したFOIP(Updated FOIP)」のビジョンを示しました。

第二の主要な対話は、7月にジャカルタでERIAと共催したシンポジウムです。カオ・キムホンASEAN事務総長による基調講演に続き、日本およびASEANの専門家が一堂に会し、FOIPと「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)」との相乗効果をいかに一層発展させていくかについて議論しました。

第三は、7月に東京で日本国際問題研究所が開催した「東京グローバル・ダイアログ」における、「FOIP10周年:次の10年を構想する(FOIP at its 10th Anniversary: Charting the Next Decade of a Free and Open Indo-Pacific)」と題するセッションです。

同セッションには、FOIPの主要な立案者の一人である市川恵一国家安全保障局長をはじめ、マイケル・グリーン博士、C・ラジャ・モハン博士、ハッサン・ウィラユダ元インドネシア外相など、域内外を代表する有識者が参加し、FOIPの将来について非常に示唆に富む、未来志向の議論が行われました。

第二の柱である「日本からの知的発信の強化」では、本年2月に「Japan’s Voices」を立ち上げました。これまでに、日本を代表する専門家による英文の論考・動画を22本発信し、時宜を得た幅広いテーマを取り上げてきました。その内容は、外交・安全保障政策や日本国内政治にとどまらず、インテリジェンス改革、人工知能(AI)、イノベーション、エネルギー、気候変動など、多岐にわたっています。

また、動画による発信にも特に力を入れてきました。シンポジウムの配信に加え、登壇者へのインタビューや対談、さらに「Japan’s Voices」で発表した論考のポッドキャスト版などを制作し、この1年間で合計64本の動画をYouTubeで公開しました。

日々の情報発信のプラットフォームとしてLinkedInも積極的に活用してきました。CGOの公式アカウントと私個人のアカウントを合わせて約200件の投稿を行い、オーガニックで数十万回のインプレッションを獲得しました。

第三の柱である「グローバル人材の育成」では、「海外共同研究プログラム」「海外フィールドワーク・プログラム」「国際学会等発表支援プログラム」の3つのプログラムを立ち上げました。これらの取り組みを通じた若手研究者の海外派遣も、すでに具体化し始めています。

振り返れば、わずか1年前、私たちは文字どおりゼロからのスタートでした。しかし、多くの皆様から温かいご支援とご協力をいただき、CGOは順調なスタートを切ることができたと考えております。

これまでCGOの活動にご尽力、ご支援いただいたすべての皆様に、心より感謝申し上げます。とりわけ、CGOフェローを務めていただいている秋山信将教授、大庭三枝教授、小谷哲男教授、スティーブン・ナギ教授、そして10月1日より新たに加わっていただいた後藤志保子博士に、深く御礼申し上げます。

一方、この1年間、日本を取り巻く国際環境は、イラン戦争やホルムズ海峡危機に象徴されるように、一層複雑かつ厳しいものとなっています。国内においても、こうした新たな環境に対応するため、国家安全保障に関する3文書の改定を含め、日本の外交・安全保障政策をアップデートする動きが加速しています。

こうした状況の中、日本の考え方、主張、政策的な思考を世界に発信する力を強化するというCGOの使命は、これまで以上に重要になっています。

設立2年目を迎えるにあたり、CGO一同、これまで築いてきた基盤の上に、さらに大きな一歩を踏み出すべく、全力を尽くしてまいります。

国内外の多くの友人、パートナーの皆様におかれましては、今後とも変わらぬご支援、ご指導、ご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

日本国際問題研究所
グローバル・アウトリーチ・センター
所長 山田滝雄

詳細はこちら << CGO設立1周年振り返り.pdf >>