国問研戦略コメント

国問研戦略コメント(2020-16)
インド太平洋の経済連携とRCEP

2020-11-17
柳田健介(日本国際問題研究所 研究員)
  • twitter
  • Facebook

「国問研戦略コメント」は、日本国際問題研究所の研究員等が執筆し、国際情勢上重要な案件について、コメントや政策と関連付けた分析をわかりやすくタイムリーに発信することを目的としています。


2020年11月15日、東アジア包括的経済連携(RCEP)がインドを除く15か国で署名された。RCEPは、ASEAN+6(日本、中国、韓国、豪州、ニュージーランド、インド)により交渉が開始された広域自由貿易協定(FTA)であり、2012年11月に交渉の立上げが宣言されてから、8年にもおよぶ交渉期間を経て、インドを除き署名に至った。発効には少なくともASEAN加盟国のうち6か国およびASEAN以外の3か国が批准をすることが条件となっており、2021年中の発効を目指す。インドを除いても世界の人口、GDPおよび貿易総額の3割を占める巨大な経済圏をカバーする協定となる。日本にとっては、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)、日EU経済連携協定に続き、3つめの広域FTA(いわゆるメガFTA)を結ぶこととなる。日本政府は、日本の貿易総額のうちFTAによってカバーされる割合(FTAカバー率)を2018年までに7割にすることを目標にしていたが、FTAが未締結だった中国・韓国を含むRCEPの完成により75%に達する。

RCEPの意義と特徴

2000年前後まで「FTAの空白地帯」だった東アジアで、貿易投資を支える制度面での統合を進める機運が高まる中、RCEPの原型として、当初、中国の提案によるASEAN+3(日本、中国、韓国)からなる東アジア自由貿易圏構想と、日本が提案する豪州、ニュージーランド、インドを加えたASEAN+6からなる東アジア包括的経済連携構想の2つの案が存在した。それぞれ案の裏には戦略的な思惑があり、どちらの枠組みを選ぶか、しばらく決まらない時期が続いていた。しかし、米国のオバマ政権がアジア重視の政策を打ち出し、TPPの交渉を主導して加速させると、TPPに対して警戒感を抱く中国が柔軟な姿勢に転じて、日中が合意し共同提案をASEANに提出し、2012年11月にASEAN+6の枠組みでのRCEP交渉が立ち上がった。TPP交渉が先行して合意に達したが、米国でトランプ政権が誕生すると、署名済であったTPPから離脱し、さらに保護主義的な貿易政策に転じることによって、自由貿易体制を揺るがす事態となった。RCEP交渉は、できるだけ高いレベルの自由化と包括的なルールを盛り込むことを目指す一方で、参加国に新興国を多く含むために、交渉は容易にはまとまらず、合意に達するのに長い期間を要することとなった。米中貿易戦争が激しくなる中で、中国が交渉に前向きになったことが、交渉を加速させた要因のひとつだと考えられる。2019年11月にインドを除く15か国は大筋合意に達したが、後述のようにインドが離脱を表明し、それ以降交渉のテーブルには戻らなかった。日本・豪州が中心となってインドの復帰を働きかけたが、翻意には至らず、2020年11月にインドを除く15か国で署名をすることとなった。署名後の首脳声明では、RCEPはルールに基づく自由貿易推進およびポスト・コロナの経済回復を支える重要な役割を果たすとメッセージを打ち出した。

経緯を振り返ると、RCEPは、経済的結びつきが強まる東アジアでのルールに基づく貿易投資の制度づくりが具体化したものであり、一方で、地域枠組みとしてはアジア太平洋地域の戦略的な環境変化に対応して形成されたものであると言える。2016年に安倍前首相が打ち出した「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」構想から捉えると、RCEPの意義がよりはっきりと浮かんでくる。日本政府によると、FOIPは成長著しいアジアと潜在力溢れるアフリカおよび太平洋とインド洋を結ぶ地域で、ルールに基づく国際秩序の確保を通じて、地域の平和と安定、繁栄に貢献し、経済と安全保障の両面での連携を目指すものとされる。また、FOIPが示す基本原則に沿うのであれば、日本はどの国とも協力すると述べられている。具体的な政策の柱として、①法の支配、航行の自由、自由貿易等の普及・定着、②連結性(質の高いインフラ)およびEPA/FTAを含む経済連携の強化、③平和と安定の確保の3つが挙げられている。なお、米国、インド、豪州、ASEAN等の国がそれぞれのインド太平洋構想を発表しており、地域外交における指標となっている。RCEPは、インド太平洋地域において、自由で公正な貿易投資のルール整備を進めて、地域の経済的繁栄に資するという点で、FOIP構想を具体化させる重要な経済連携の取り組みであると位置づけることができる。

RCEPができたことで、既存のFTAが存在しなかった日中韓の間に新しくFTAが締結されることとなる(表1)。インドが加わっていれば、印中、印豪、印NZの間にも新しくFTAが結ばれることになっていた。署名された協定に目を転ずると、RCEPは20章の構成となっている1。日本政府の発表によると、関税の自由化率は品目数ベースで、日本からの輸出に関して、86~100%(ASEAN・豪州・NZ)、86%(中国)、83%(韓国)となり、工業製品については全体で約92%の品目で関税撤廃となる。日本への輸入に関して、88%(ASEAN・豪州・NZ)、86%(中国)、81%(韓国)となり、重要5品目(米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物)は関税撤廃・削減から除外している。関税撤廃・削減スケジュールは、多数の品目で10年以内、最長で20年以内に実施される。原産地規則は、累積制度(他の締約国の原産材料を自国の原産材料とみなすことができ、付加価値を足上げ40%以上によって原産性が認められる)が採用されたことで、域内で複数国に跨るサプライチェーンでもRCEPの特恵関税が受けやすいようになった。ASEAN+1か国FTA(ASEANが日本、韓国、中国、豪州、ニュージーランド、インドとの間にそれぞれ結んでいるFTA)ではASEAN域外国の間のFTAは繋がっておらず、また原産地規則の制度が異なることで、企業にとって使い勝手が良くないという課題があった。RCEPによって共通ルールの下、シームレスなFTA網が完成したことは最大の利点であると言える。証明手続きには、従来の第三者証明に加えて、認定された輸出者、また一定の期間内に全ての輸出者および生産者による自己申告制度を実施することが定められ2、ビジネスフレンドリーな要素が盛り込まれた。


表1 RCEP参加国間の既存のFTA3
2020-16-fig1.PNG

サービス貿易では、WTOや既存のFTAの自由化約束を上回る分野が含まれ、ポジティブリスト方式(自由化対象となる分野のみを記載)またはネガティブリスト方式(全ての分野で自由化義務を負った上で自国措置の留保のみを記載)の併用となっている4。金融サービス、電気通信サービスおよび自由職業サービスに関するルールも規定されている。投資章では、投資財産の保護のみならず、投資の自由化に関しての規定が盛り込まれ、ネガティブリストに基づき、投資の許可段階(設立前)の内国民待遇および最恵国待遇の原則供与が認められた5。また、現地調達要求、技術移転要求等のパフォーマンス要求の禁止の規定が置かれた。中国が結ぶ投資協定でこのような要素が盛り込まれたのは初めてである。

電子商取引では、電子的送信に対する関税の不賦課、サーバーなどのコンピューター関連設備の設置要求の禁止、プライバシー保護、国境を越える情報の移転の自由の確保(データーフロー)、サイバーセキュリティ等の規則が盛り込まれた。一方、CPTPPに含まれるソースコードの開示要求禁止は規定されていない。その他、中小企業、経済技術協力では、中小企業の能力向上のための協力や経済技術協力に関する活動の推進等が規定されている。最終規定には、新規加入は協定発効後18か月が経ってから可能になるとしているが、原交渉国のインドはこの期間を待たずに加入することができると定められている。

上記の特徴から、RCEPは、おおむね高い水準の自由化と、CPTPP等の要素を上手く取り込みつつASEAN+1FTAを上回る包括的なルールを備え、かつ後発国に猶予を与える柔軟性を有する内容となっており、また企業にとっても利用しやすいバランスの取れたFTAに仕上がったと評価できるだろう。但し、自由化のレベルとルールの内容には改善の余地が残されており、発効後5年ごとに行うとされる見直しを通じてよりよい協定にしていくことが期待される。

インドの離脱

2019年11月、バンコクで開催されたRCEPサミットにおいて、インドはRCEPの交渉から離脱する意向を表明した。それ以降、インドは交渉会合に欠席している。

インドのRCEP交渉離脱の背景として、一つには、RCEP参加国との貿易自由化を進めることでとりわけ中国から安い製品が流入し、長年続いている貿易赤字がさらに拡大するのではないかという懸念が指摘されている。モディ政権が推進する「メーク・イン・インディア」では2022年までにGDPに占める製造業のシェアを25%へ引き上げる目標を掲げている。交通・電力インフラ整備、税制改革、土地収用法や労働法の法改正に取り組み、ビジネス環境は改善傾向にはあるが、製造業の伸びはいまひとつで、十分な雇用創出ができていない。RCEPは製造業の競争力を高めるのに貢献しうるという見方もある一方で、ASEANや中国との競争に勝てないという根強い懸念がある。もう一つには、国内政治への配慮がある。2019年春の連邦下院選でモディ首相率いるインド人民党(BJP)が圧勝を収めたものの、10月のデリー郊外ハリヤナ州と西部マハラシュトラ州の州議会選挙では農村部の票が伸び悩み苦戦する結果となった。また、BJPの最大の支持母体であるヒンドゥー民族主義団体・民族奉仕団(RSS)と関連するスワデーシー運動(国産品愛用)の団体スワデーシー・ジャガラン・マンチ(SJM)やグジャラート州で乳製品「アムル」のブランドを手掛けるグジャラート牛乳販売協同組合連盟(GMMF)がRCEPに対する激しい反対デモを展開しており、モディ政権の判断に大きな影響を与えたとされる6

インドのRCEP交渉に関する主張や懸念は以下の点であるとされる7。①インドは2014年以降、携帯電話や通信機器等の一部のICT製品の関税を引き上げている。また、近年ではWTO協定で約束している譲許税率を超えない範囲ではあるが実行税率を引き上げている。インドは関税引き下げ交渉のベンチマークとなる譲許表(実行税率)の基準年を2014年から2019年へ変更することを主張し、高い税率を基準とすることで、自由化の度合いを緩やかにする狙いがあった。②中国からの輸入を念頭に、工業製品等の200以上の品目で緊急輸入制限(セーフガード)導入を求めたが、中国が強く反対した8。③原産地規則で厳しい基準を採用することを求めたが採用されなかった。インドは、日本やASEANとの既存のFTAにおいて、関税番号変更基準と付加価値基準の2基準を同時に満たさなければいけないという併用制を採用しているが、こうした厳しい原産地規則は企業がFTAを利用する妨げの要因となり得る。④特恵関税率を同じ条件(最恵国待遇)で参加国に与えるという原則があるが、インドは対日本・韓国では90%、対豪州・NZでは86%、中国には80%を20~25年かけて撤廃することを求めた9。⑤ASEAN・中国の非関税障壁が対処されていない。具体的には、中国の医薬品市場への参入障壁のことを指していると思われる。⑥ニュージーランドからの乳製品の輸入に対する懸念がある。⑦サービス貿易のモード4(人の移動)で、特にITエンジニアの移動等、サービス自由化を求めたが、他の参加国が消極的だった。

2020年の交渉会合ではインドの交渉復帰が焦点だったとみられ、報道等によると、インドに対して、マーケットアクセスに関する約束を一時保留とし合意可能な分野のみ部分的に合意するという案が提示されたが、インドは、新型コロナパンデミックで国内外の政治経済の不確実性が高まっている状況の中で、判断するのには適切な時期ではないとし、応じなかったとされる10

RCEPの経済効果とインド離脱の影響

RCEPの経済効果とインド離脱によってどのような影響があるのかについて応用一般均衡モデル(CGE)を用いて分析を行う。本稿では、モデルやシナリオの仮定に関する説明は最小限にとどめて、主にシミュレーション結果のポイントについて紹介をしたい。分析には、Global Trade Analysis Project (GTAP)のGTAPモデルと第10版データベース(基準年2014年)を使用する。モデルの仕様とシナリオの仮定については、Kikuchi et al.(2018)でRCEPの分析に使われているものと同じ内容を用いる11。シナリオの仮定を簡潔に述べると、RCEPにより物品貿易にかかる関税と非関税障壁(主に貿易円滑化を想定12)が削減されるのと、サービス貿易のコストが下がるケースを想定している。RCEPが16か国の場合と、インドが抜けて15か国になった場合の2つのシナリオについてシミュレーションを行った。

表2は、実質GDPの変化についてシミュレーション結果をまとめている。なお、シミュレーション結果は、ベースライン(RCEPが実施されない場合)と比較した変化である。RCEP16では、実質GDPの変化は、ASEANが+6.0%、日本が+5.1%、中国が+4.9%、韓国が+7.2%、豪州が+3.2%、ニュージーランドが+3.0%、インドが+7.1%である。RCEPによって参加国に大きな経済効果が生み出されることが示されている。日本の場合、主要貿易相手国である中国と韓国と新たにFTAが締結され比較的高かった関税が削減される効果や、ASEANや豪州への自動車輸出(中古車含む)にかかる関税が削減される効果が大きい13。加えて、非関税障壁が、とりわけRCEPの新興国で削減される効果が大きい。また、地域のサプライチェーンを通じた貿易拡大や、新興国の所得増加による日本からの輸出拡大の効果がある。ASEANの場合、既存のFTAにより関税はすでに低水準にあり効果は限定的である一方、自国の非関税障壁の引き下げによる効果が大きい。輸入コストが下がって産業の競争力が上がり、比較優位のある製品の輸出が増大する。マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムでは電子機器製品、カンボジア、ベトナムではアパレル製品の輸出の伸びが大きい。インドの場合、主要輸出先の中国やASEANでの関税・非関税障壁が下げる効果があるが、より重要なのは、インドにおいて高い水準で残る関税・非関税障壁が削減される効果である。輸入コストが下がることで、インドが比較優位を持つ産業の競争力が増し化学関連、金属、機械および金融等のサービスの輸出が増える。自動車や電子製品の輸出の伸びも大きいことが示されている。これは、RCEP通じてインドが東アジアの製造業のサプライチェーンへの参加を拡大させる可能性を示唆している。輸出が伸びる産業では雇用も大きく増加する。一方で、インドは軽工業での比較優位は乏しく、繊維・アパレル等の輸出の伸びは小さい。


表2 RCEPによる経済効果(実質GDPの変化)
2020-16-fig2.PNG
出所:GTAP データベース10に基づき筆者推計。

続いて、インドを除くRCEP15について、インド離脱の影響を中心に見ていく。第一に、インドがRCEPに参加しないことの機会損失が非常に大きい。+7.1%のGDPの押し上げ効果を逸することになる。第二に、RCEP15では、インドは-0.2%のマイナスの効果を被ることになる。これは、インドを除くRCEP参加国間での貿易障壁が削減され輸入価格が下がることで、輸入先をインドから他のRCEP参加国に切り替える「貿易転換効果」が生じるためである。第三に、インドが抜けることで全体の押し上げ効果は縮小する。マイナス影響を比較的大きく受けるのは、ASEAN(6.0%→5.4%)、中国(4.9%→4.6%)、韓国(7.2%→6.5%)である。具体的な例を挙げると、インドネシア、マレーシアはインド向けのエネルギー資源の輸出、タイ、ベトナムはインド向けの化学製品、自動車、電子機器等の工業製品の輸出でマイナスの影響を受ける可能性がある。日本は-0.1ポイントと影響は限定的である。インド離脱による他のRCEP参加国への影響はそれほど大きくはないが、将来的にインド経済が成長していくことを見据えると、長期的なインパクトは大きくなると考えられる。

おわりに

RCEPが、おおむね高い水準の自由化と包括的なルールを備える枠組みとして完成したことは、インド太平洋地域の経済連携を推進する上で重要な成果だと言える。一方で、日本にとって戦略的に重要なパートナーであるインドが今回加わらなかったという大きな課題が残った。

ASEANの経済統合の特徴として、各国の経済発展や政治制度の違いを尊重して、漸進的に自由化を進める柔軟性を取り入れてきた。署名されたRCEPにはインドの復帰について特別な扱いを定めている他、柔軟性を認める様々な工夫がなされている。インドとは継続的な協議を行い、インドが参加できる準備が整うまで、粘り強い働きかけをしていくことが求められる。

インドの重要な課題のひとつとしては、「メーク・イン・インディア」政策を推進して製造業の発展を支えるインフラ・法整備を着々と進めることが重要である。こうした経済政策の効果が現れるには時間を要するが、対内直接投資が年々増加している等、徐々に成果も出ている。またハードインフラの整備だけでなく、教育普及を通じて産業人材を育てることが不可欠である。教育普及にはデジタル技術の活用が極めて重要な役割を果たすと考えられる。

インド太平洋構想の実現を目指す枠組みでは、米国の国際開発金融公社(DFC)が主導をして、日本・豪州と協力し、質の高いインフラ投資を推進する「ブルードットネットワーク」等の取り組みがある。インドのインフラ整備や人材育成を支援することを目指して、質の高いインフラ投資を通じた連結性強化、デジタル技術等の分野で日米豪印の経済協力を進めていくことも重要だろう。

また将来的には、インドだけではなく、南アジアのサブ地域グループである南アジア・サブリージョン経済協力(SASEC)等と連携をして、RCEP参加国を増やしていくことも重要であると考えられる。



【参考文献】

石川幸一「東アジアの経済統合:展開と課題」『アジア研究』Vol. 64, No.4(2018年10月)64-78頁。

福地亜紀「インドの経済外交戦略の現状と展望~『メークイン・イン・インディア』の実現に向けた課題~」Newsletter、2019年12月5日、国際通貨研究所。




1 (1)冒頭・一般定義、(2)物品貿易、(3)原産地規則、(4)税関手続・貿易円滑化、(5)衛生植物検疫措置、(6)任意規格・強制規格・適合性評価手続、(7)貿易救済、(8)サービス貿易、(9)自然人の移動、(10)投資、(11)知的財産、(12)電子商取引、(13)競争、(14)中小企業、(15)経済技術協力、(16)政府調達、(17)一般規定・例外、(18)制度的事項、(19)紛争解決、(20)最終規定。
2 全ての輸出者および生産者による自己申告制度は、カンボジア、ラオス、ミャンマーは20年以内、その他の締約国は10年以内に実施することが定められている。
3 AJCEP:日・ASEAN包括的経済連携協定、ACFTA:ASEAN・中国自由貿易協定、AKFTA:ASEAN・韓国自由貿易協定、CKFTA:中・韓自由貿易協定、AANZAFTA:ASEAN・豪・NZ自由貿易協定、JAEPA=日・豪経済連携協定、CAFTA=中・豪自由貿易協定、KAFTA=韓・豪自由貿易協定、NZCFTA=NZ・中自由貿易協定、NZKFTA=NZ・韓自由貿易協定、ANZFTA=豪・NZ自由貿易協定、AIFTA=ASEAN・印自由貿易協定、JIEPA=日・印経済連携協定、IKCEP=、印・韓包括的経済連携協定。
4 ポジティブリスト方式を採用する国についても、協定発効後、一定期間内にネガティブリストへ移行する手続きを開始する義務が規定されている。
5 なお、最恵国待遇はカンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムには適用されない。
6 Palit, Amitendu. "Domestic Politics Force India`s Withdrawal from RCEP and Broader Trade Disengagement," Asia Pacific Bulletin No. 494, November 26, 2019. East-West Center: Washington D.C.
7 Kumar, Mohan. "Rejecting RCEP was the easy part," Hindustan Times, November 10, 2019
https://www.hindustantimes.com/analysis/rejecting-rcep-was-the-easy-part-ht-analysis/story-oM0QORymKE5CGUZo9GEAPP.html
8 「セーフガード200品目要求、インド、RCEPで対中赤字懸念」(『SankeiBiz』2020年12月5日)
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/191205/mcb1912050500010-n1.htm
9 助川成也「インドのRCEP離脱とその背景」(『世界経済評論IMPACT』2019年12月9日)
http://www.world-economic-review.jp/impact/article1567.html
10 Sen, Amiti. "India not ready to take up RCEP`s `flexible` offer," The Hindu Business Line, June 10, 2020
https://www.thehindubusinessline.com/economy/policy/india-not-ready-to-take-up-rceps-flexible-offer/article31797002.ece
11 T. Kikuchi, K. Yanagida and H. Vo (2018). "The Effects of Mega-Regional Trade Agreements on Vietnam." Journal of Asian Economics Volume 55: pp. 4-19 (April 2018).
12 Kikuchi et al. (2018)の分析では、World BankのDoing Businessデータベースを参照して、通関の法令遵守や書類手続きにかかる日数やコストを非関税障壁の指標として、貿易協定による貿易円滑化の措置でコストが削減されることを仮定している。概して、新興国での通関コストの方が先進国よりも大きい。上述のデータによると、日本では輸入通関手続きに1.8日かかる一方で、インドでは14.3日を要することが示されている。
13 但し、ASEANと豪州とは既に二国間のFTAが結ばれているため、シミュレーション結果は過大となる可能性があることに留意が必要である。