国問研戦略コメント(2025-16)「選択的核拡散」が米国の同盟国と国際秩序にもたらす危険性
アルべサル ティモテ(日本国際問題研究所特任研究員・一橋大学大学院 国際関係論専攻 博士課程在籍・エコール・ノルマル・シュペリウール(ENS、パリ)卒業)

「国問研戦略コメント」は、日本国際問題研究所の研究員等が執筆し、国際情勢上重要な案件について、コメントや政策と関連付けた分析をわかりやすくタイムリーに発信することを目的としています。
「選択的核拡散」が米国の同盟国と国際秩序にもたらす危険性
2025年11月19日、モリッツ・グレーフラートとマーク・レイモンドは、“America’s Allies Should Go Nuclear”(「米国の同盟国は核武装すべきだ」)という論考を「フォーリン・アフェアーズ」に発表した。選択的核拡散を擁護し、カナダ、ドイツ、日本といった米国の同盟国に核兵器の保有を認めることで、安全保障を強化し、中国やロシアの脅威や修正主義的行動に対して国際的なルールに基づく秩序も強化できる、という主張である1 。
本稿はこうした主張に異議を唱えるものであり、この戦略の根本的な誤りを指摘し、実際にはまったく逆の結果を招くと論じる。著者らの主張は米国の同盟国と米国自身の安全保障を損ない、核不拡散体制と1945年以降の国際秩序に取り返しのつかない損害を与えることになる。
以下に、選択的核拡散を追求するのではなく、同盟国による高度な通常戦力の整備、米国の核作戦を支援するための同盟国による通常戦力の活用、そして地域横断的な抑止協力の強化こそが、抑止力を強化するために最も即効性があり実現可能な方法だと示す。
選択的核拡散は米国の同盟国と米国自身の安全を脅かす
同論文の第一の主張は、カナダ、ドイツ、日本による核兵器保有が「地域の敵対勢力の脅威に対する最も信頼できる防護」になるというものである。彼らの見解では、日本が核兵器を保有すれば「中国の支配下に落ちることを防ぐ」ことができ、ドイツが核能力を獲得すれば欧州が「自らの安全保障を確保できる」としている。
しかし、この議論が抱える中心的な問題は、極めて狭量で概念的に曖昧である点にある。核兵器を、特定の戦略環境を無視して、それを手に入れさえすれば自動的に国家の安全が強化される奇跡の兵器(Wunderwaffe)のように扱っているのである。論文は効果的な抑止に何が必要かという問いに一切向き合っていない。核抑止は、一定数の核弾頭を保有しているという事実だけで成立するものではない。技術開発、戦力態勢の構築、ドクトリン策定といった継続的なプロセスに依存しており、単に核装置を製造する能力をはるかに超えた複雑さを伴う。この領域ではハードウェアとソフトウェアは切り離せない関係にあり、それらは抑止の三つの中核的要素である能力(capabilities)、信頼性(credibility)、伝達(communication)を形作っている。
能力の観点からいえば、著者らの主張は「選択的核拡散」が具体的に何を意味するかについて曖昧であるために弱まっている。「核兵器」という言葉に言及するだけで、それに不可欠な技術的・運用上の条件への議論を回避しているのである。たとえばドイツは、完全な核トライアド(3本柱)を整備する必要があるのか。カナダはどれほどの核弾頭を保有すべきなのか。日本は近隣で核実験を行うことが可能なのか、あるいは米国がシミュレーション用の弾頭データを提供するほど協力するのか。こうした問いに答えることは、開発中の核戦力の信頼性を確保するために必要不可欠である。
さらに、これらの国はいずれも、信頼に足る核運搬手段を保証するための情報・監視・偵察(ISR)インフラを現在保有していない。今日と同様、もし米国にこうした能力を依存したままであるなら、著者らが核保有によって得られるとしている自律性は大きく損なわれることになる。これほど基本的な問いを放置している時点で、著者らは自らの議論の説得力を大きく損なってしまっている。
加えて、著者らの「選択的核拡散」という概念は歴史性を欠き、時間的現実から切り離されているかのように見える。あたかもそのようなプロセスが一夜にして達成できるかのように描かれているのである。カナダ、ドイツ、日本が高度な技術力を有しているからといって、数週間で信頼性のある核兵器を開発できるということにはならない。兵器級核分裂性物質の生産、それを金属化する工程、適切な起爆装置と点火回路の製造、信頼性の高い弾頭の小型化、それを適切な発射システムに統合する作業、弾頭と運搬手段の双方の試験、そしてこれらの能力を安全かつ確実に保持するためのインフラの構築、こうした具体的な技術的工程のすべてには、数カ月、より現実的には数年を要する。潜在的な経済制裁は、そのプロセスをさらに長期化させ、より困難なものにする可能性が高い。
こうした技術的要件を見落としているために、「核拡散がこれらの国家の安全を高める」という彼らの主張は根本的に誤っているといえる。核開発には長期の時間がかかるため、その過程で必然的に大きな脆弱性が生じ、二つの課題に直面することになる。
第一に、これらの国家が敵対国による核拡散阻止措置の標的となるリスクがある。もし日本が核保有した場合、中国、北朝鮮、さらにはロシアが傍観すると合理的に考えられるだろうか。
日本の安全保障環境が厳しいとはいえ、現在の状況は、NPT第10条に記された脱退の条件、「この条約の対象である事項に関連する異常な事態が自国の至高の利益を危うくしていると認める場合」に当てはまらず、日本がNPT体制から脱退することを正当化するものではない。このような状況でもし日本が核保有すれば、日本は「ならず者的な核拡散国」とみなされ、先頃、イランに対して行われた前例にならって、日本に対して予防的な通常兵器攻撃をしかける敵対国が、これを正当な核拡散阻止手段と主張する可能性さえある。
日本の核保有の正当性が国際社会と国内の双方で強く争われることを踏まえれば、米国が拡大抑止コミットメントを維持する誘因は弱まるだろう。したがって、核拡散に与することは、日本の安全保障を強化するどころか、むしろ損なう可能性が高い。
さらに、日本の核保有は米国にも直接的な影響を及ぼす。日本を標的としたあらゆる核拡散阻止行動は、地域に展開する米軍や米国の利益を危険にさらすことになる。著者らが示唆しているように米国の安全保障負担を軽減するどころか、米国は難しい対応を迫られ、その他の拡大抑止枠組みにも波及効果を及ぼす可能性がある。
第二の課題は、日本が直面する安全保障上の脅威とは別に、長期的に安定的かつ信頼性のある抑止体制を確立することである。核兵器を保有しさえすれば自動的に効果的な抑止が成立するという発想は、いわば呪術的思考といえる。
米国やフランスといった国家が核戦力を継続的に近代化し、核ドクトリンを定期的に見直しているのはなぜか。理由の一つは、抑止の要件は変化する安全保障環境によって規定され、核兵器だけでは不十分だということを認識しているからである。核兵器は、国益を脅かすと認識される脅威に合わせて慎重に設計され、定期的に更新される戦略枠組みの中に組み込まれて初めて意味を持つ。単なる保有だけで抑止が成立するのであれば、米国が1兆ドルを超える費用を投じて核戦力の近代化を進める必要はないはずだ。
この点を踏まえれば、独自の日本の核抑止力が確立されても、信頼性のある核抑止アーキテクチャを構築するという課題は長年解決されず、核戦力の整備効果は大幅に限定されることになる。
これらの誤解をさらに深めているのは、著者らの議論に見られる偏りであり、カナダ、ドイツ、日本という3か国が核兵器について長年にわたり行ってきた主体的かつ戦略的な分析を根本的に見落としている点である。著者らは、日本国内の世論が核保有に反対していることが障害となると正しく指摘し、国内政治コストを考慮する重要性を示してはいるものの、歴代日本政府が核保有の決定がもたらす結果を実務的かつ戦略的観点から評価したうえで、一貫して核兵器を拒否してきたという歴史的事実を考慮していない。
外務省および防衛庁(現防衛省)では、1968年、1970年、1995年に日本の核武装の可能性に関する複数の内部研究が行われた。これらはいずれも、日本が核兵器を追求すれば安全保障は高まるどころか、むしろ低下する可能性が高いとの結論を示している。ここで指摘されたリスクには、核保有国との軍拡競争の誘発、敵対国による予防攻撃の誘因の増大、不拡散体制の毀損、国際的孤立や米国との関係悪化の可能性、多大な経済的負担、制裁リスク、さらには核実験に適した領域の欠如といった実務上の課題が含まれていた2 。
これらの要因を総合すれば、日本が自主的な核開発を断念し、代わりに米国の拡大抑止に依存しつつ同盟を強化するという合理的判断に至ったのは当然であった。そしてこの戦略こそが、日本の抑止・防衛政策の中核を形成するに至ったのである。無論、政策転換は常に起こり得るため、歴史的背景だけでは、変化する国際環境に応じて日本が将来的に核保有に踏み切る可能性を評価する決定的な証拠にはならない。しかし、それでも日本が拡大核抑止の価値を戦略的選択として一貫して重視してきたことを示している。この安全保障モデルへのコミットメントを維持し続ける限り、核兵器保有を選択する政治的決断が下される可能性は低いままである。
日本の場合、こうしたコミットメントは、2月の石破・トランプ会談 3、そして10月の高市・トランプ会談4 においても改めて確認されている。
ルールに基づく国際秩序の選択的破壊
著者らは、「選択的核拡散」は、修正主義国家に対抗する国々の軍事バランスを是正することで、「1945年以降の秩序を構成するルール、規範、制度――とりわけ征服禁止の規範――のさらなる浸食を防ぐのに役立つ」と主張している。しかし、この主張はきわめて論争的であり、実際には著者らが批判している動きをかえって後押しするものとなっている。
まず、ルールに基づく国際秩序と言えば、不拡散規範がその基盤の一つを成しているという事実を無視することはできない。核拡散防止条約(NPT)は、191カ国が加盟する国際的に最も普遍的な条約の一つであり、50年以上にわたって国際安全保障の維持に寄与してきた。不拡散規範は、より広範なパワーバランスと深く結びついており、また、原子力の平和利用へのアクセスの前提条件として、多くの国家に内面化されている。
さらに、規範の強さと影響力は、どの国家がその規範を遵守しているかに大きく依存する。規範は、それが本来制約しようとしている「重大影響国家(critical states)」によって守られることで強化される5 。不拡散規範の場合、米国とソ連が核拡散を防ごうとした主要国の中に日本とドイツが含まれており、1960年代後半のNPT交渉でも中心的な検討対象であった。もし、このNPTにおける「優等生」とみなされてきた二つの重大影響国家が離反し、核保有に踏み切れば、それは不拡散規範を単に弱めるだけでなく、事実上終焉させることになるだろう。それは、普遍的な規範や条約遵守よりも、同盟政治や地政学上の立場に依存した二重基準が優位に立つことを示すものであり、NPT体制の崩壊を意味する。
国際的なルールに基づく秩序が信頼性を保つためには、それを「アラカルト方式」で扱うことは許されない。NPTはすでに、多くの非核兵器国から、その構造的な不平等や、5つの核兵器国による軍縮の進展が見られないことへの批判を強く受けている。選択的核拡散を容認すれば、こうした不満はさらに高まり、NPTはもはや維持不可能で、支持に値しないという認識を補強するだけである。
米国の敵対国は、非同盟諸国による強い支持を受けながらこのあからさまな不平等を真っ先に非難するだろう。初期の非難に続き、これらの国家は同様の行動で応じようとする誘因を強く持つはずである。こうした状況では、中国やロシアがイランあるいは他国の核開発を公然と支持する展開は十分に考えられ、既存の輸出管理体制が機能不全に陥るリスクも大幅に高まる。
さらに、敵対国だけでなく、他の米国同盟国も追随しようとする可能性が高い。例えば、著者らは日本が核兵器を保有しても韓国には核開発を進める誘因がないと主張するが、この論拠は説得力に欠ける。安全保障上の合理性と東アジアの地域政治の力学の両面から見て、片方が核を保有すれば、もう片方に強い核取得の誘因が生まれる。韓国の国内政治圧力、歴史的要因、地域安定と自国の安全に対する戦略的懸念を踏まえれば、対応する核能力を求める声はむしろ高まる可能性が高い。
こうした波及効果は、「選択的」拡散という発想そのものに疑問を投げかける。つまり、この概念は、米国がどの国に核兵器の保有を認め、どの国の保有を阻止し、その過程から安全保障上の利益を得られることを前提としている。しかし、主要な同盟国が核保有へ動けば、もはやその選択権はワシントンにはない。さらなる拡散を抑制・管理する米国の影響力は大きく損なわれる。加えて、核兵器開発に必要な情報・物資・装置へのアクセスが一般に想定されるほど困難でない以上、核ドミノ現象のリスクは現実的に大きいと言える。
最後に、不拡散規範にとどめを刺すだけでなく、選択的核拡散は必然的に「1945年以降の秩序」を侵食し、軍拡競争を加速させ、偶発的リスクが増え、抑止力が世回るという危機の安定を損なう。ドイツと日本が核武装すれば、中国とロシアは現在進めている核戦力の近代化・拡張を一層強化することはほぼ確実であり、その影響は米国の安全にも直接及ぶ。米国自身も核戦力増強を迫られる可能性が高い。
こうして、地域情勢と大国間競争が交錯するなかで、軍拡競争の悪循環が再び現れ、複合的な危機の発生可能性が高まり、新たな核保有国の出現によって生じる不安定な均衡の下、誤算や誤認、あるいは直接的な衝突を通じて核使用のリスクがさらに増大する。
米国はすでに、2つの「準同等核武装国」(near-peer nuclear competitors) が存在する戦略環境の影響に直面しており、それが米国の安全と抑止態勢にも大きな負荷をもたらしている。そこに新たに3か国が核保有国として加わり、中国・北朝鮮・ロシアの対応が連鎖的に生じれば、ワシントンにはさらなる負担がのしかかり、リスクと不安定は一段と増大することになる。
選択的核拡散より、包括的な拡大抑止へのコミットメントを
選択的核拡散は、カナダ、ドイツ、日本の安全保障を損なうだけでなく、ルールに基づく国際秩序にも深刻な打撃を与える。そのため、米国が実行可能な戦略として推奨できるものではない。米国の同盟国に対して選択的核拡散を提唱することは、既存の拡大抑止の枠組みでは安全を十分に確保できないという前提を暗に置くことになる。しかし、角を矯めて牛を殺す必要はない。米国とその同盟国は、同盟国による核保有という高度に不安定化を招く選択肢に訴えることなく、拡大抑止の枠組みを強化するための多様な措置を採用することができる。
第一に、核兵器を開発するのではなく、米国の同盟国は既存の抑止力のギャップを埋めるため、高度な通常兵力能力の強化を優先すべきである。日本が進めるトマホークや改良型12式地対艦誘導弾など「反撃能力」の整備6 、ドイツが欧州長距離打撃アプローチ(ELSA)に参加し、英国と協力して射程2,000キロ超の打撃能力の開発を発表したことは7 、追求され、奨励されるべき政策の典型例である。こうした選択肢は、特に中距離ミサイル分野において、米国の同盟国と中国・ロシアの間に存在する能力ギャップに対処するものだ。
これらの能力は、核使用に至らないレベルでのエスカレーション管理、より柔軟な作戦運用を可能にする。また、非核手段の多様化は、相手側の行動に対して「核使用か、不使用か」という二者択一を避けることで、拡大核抑止自体の信頼性を高める効果もある。さらに、同盟国は単なる核抑止の受益者ではなく、核・通常戦力を組み合わせた包括的な抑止態勢を構築する積極的な担い手となることができる。
第二に、米国の同盟国は、米国の核任務に対してより大きな通常戦力による支援を提供しうる。たとえ同盟国が核政策の意思決定に直接関与しないとしても、こうした支援を可能にするため、米国が作戦計画に関する情報の共有範囲を明確にすることは極めて重要である。NATOの「核作戦通常戦力支援(CSNO)」の枠組みや、米韓「ワシントン宣言」でうたわれた「韓半島における核抑止の適用に関する共同訓練・演習の強化」などを参考に8 、同盟国は多様な支援役割を担うことができる。例えば日本の航空機は、核搭載可能な米国の爆撃機や戦闘機の護衛、空中給油などを行い得る。また、12月10日に米国のB-52爆撃機2機とともに実施されたような共同訓練を9 、より頻繁かつ定期的に行うことも可能だ。同様に、カナダ、ドイツ、日本は、防空システム、宇宙・サイバー能力、整備活動、その他の運用支援機能を通じて、米国の核作戦への直接的支援をさらに強化することができる。
同盟国による支援の幅広い可能性は、拡大抑止を強化するための協力が極めて多面的になり得ることを示している。こうした後方支援や作戦面での貢献は、米国による核攻撃の信頼性を支える中核的要素である。これらの活動に関与することで、同盟国は抑止力を強化するだけでなく、米国の負担を部分的に軽減し、さらに有事の際に迅速かつ効果的に対応するために必要な手順や運用への経験・慣熟を得ることができる。
最後に、同盟国間の地域横断的な (cross-regional) 協力は、抑止力を強化するうえで不可欠である。中国、北朝鮮、ロシアが危機時に相互支援を行う可能性がある以上、戦域間の衝突リスクが高まるためである。同盟国は、これらの敵対国に対処する際、垂直的エスカレーションだけでなく、地域・領域をまたぐ水平的エスカレーションも併せて考慮しなければならない。
また、同盟国の脅威認識は一様ではなく、カナダ、ドイツ、日本は中国・北朝鮮・ロシアによる脅威をそれぞれ異なる角度から評価しているため、地域横断的協力は脅威認識の共有にとって不可欠である。敵対国の能力と意図について共通理解を形成することは、協力を強化し、抑止における役割分担を適切に設定するために極めて重要である。とりわけ、一方の戦域での侵略が、別の戦域で他の敵対国による好機的な侵略 (opportunistic aggression)を誘発しかねない事態においては、協調が不可欠となる。
この点で、近年拡大しているポーランドと韓国の防衛産業協力に見られるような取り組みによって 10 、戦域間協力はこうした情報交換と協力を強化するうえで大いに寄与しており、今後さらに拡大されるべきである。脅威認識の共有を超えて、効果的な地域横断的抑止を実現するためには、シナリオを用いた計画の拡充、集団的危機管理手続きの確立、そして定期的な地域横断調整の実施が必要となる。また通常戦力の分野では、同盟国は、生産体制、備蓄、サプライチェーンを地域間で統合する方向に進み、各国の比較優位を活かした役割分担を最適化し、二正面での紛争発生時に明確な共通優先順位に基づく資源配分を可能にすることで、レジリエンスを高めることもできる。
これらの措置は、米国の同盟国が抑止を強化・拡張するために取り得る、現実的かつ短・中期的なステップである。選択的核拡散は、各国の安全保障を著しく損なうだけでなく、ルールに基づく国際秩序を弱体化させるものである以上、ここで述べた行動こそが、既存の安全保障メカニズムを強化しつつ、米国の負担を軽減するための最も実行可能で効果的な選択肢となる。核抑止とは核兵器そのものだけを意味するのではない。核兵器国を増やすことを主張するのではなく、核抑止と通常戦力を統合する取り組みをさらに発展させ、現在の脅威に対応していく必要がある。