国問研戦略コメント

戦略年次報告 2019:「INF条約後」の核軍備管理・不拡散と日本

2020-02-03
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「核兵器のない世界」を高らかに謳ったオバマ米大統領のプラハ演説(2009年4月)から10年が経過した。しかしながら、一時的な進展と機運の急騰の後に、核軍縮・不拡散は停滞、さらに逆行に転じた。

2019年に、なかでも大きな衝撃を国際社会に与えたのが、米国による中距離核戦力全廃条約(INF条約)の脱退であった。INF条約は冷戦末期の1987年に、核廃絶の理想を持ったレーガン大統領とゴルバチョフ書記長が「核戦争に勝者はなく、決して戦ってはいけない」との認識を共有して署名し、米ソに現地査察を含む厳格な検証措置の下での核戦力削減を史上初めて義務付けたという、核軍縮条約の象徴的存在であった。米国の脱退は、ロシアによる9M729・地上発射巡航ミサイル(GLCM)の秘密裏の製造・配備という条約違反(ロシアは否定)への対抗措置であるとともに、中距離ミサイルを数百基の規模で保有する中国への対応を視野に入れたものであった。