イベント実施報告

第5回東京グローバル・ダイアログ

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2月29日

パート1:米中競争とインド太平洋 (1) 政治・安全保障

米中競争が長期化・多面化し、その中で地域秩序の「綻び」が具現化しつつあるインド太平洋地域を主題に各国登壇者が議論を行った。

米中競争の同地域への影響について、登壇者からは中国の封じ込め、米国の排除のいずれもあり得ない選択肢であり、その狭間で各国が均衡の確保を模索しているとの現状分析がなされた。また、こうしたバランス確保のための各国の動きに中国がさらに反発するとのジレンマ的状況が起きていることも指摘され、米中首脳会談(2023年)を一里塚に、米中競争が「公正な競争」として行われるよう図る必要が確認された。またインド太平洋地域と世界情勢は不可分に連結しており、その意味でも同地域における秩序構築の重要性が一層高まっているとの指摘が寄せられた。

地域情勢の焦点となる台湾をめぐっては、米国が台湾支持と同時に平和的解決の姿勢を堅持しており、中国がレッドラインとみなす台湾独立の「コスト」を各アクターとも認識しているため短期的に武力衝突が生じる可能性は高くないとの見方が示された。一方、台湾有事の発生は朝鮮半島有事に直結するとの懸念が示された。その上で、地域・国際秩序への悪影響を防ぐため、域内国も台湾有事を座視することはないとの見解が寄せられた。

地域が抱える今後の課題として、既存の国際的ルールが機能不全に陥っており、これを代替するアンブレラ型ストラクチャーをもったルールの整備が急務であることが指摘された。また米国次期大統領に対しては、国際秩序の動揺とパートナーシップ型の協力関係の登場といった最近の域内の構造的変化を所与のものとし、これらに引き続き取り組むことが米国の国益にかなうことを各国がインプットしていく必要性について、見解の一致を見た。

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