イベント実施報告

第2回東京グローバル・ダイアログ

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2月26日

分科会 II-4: コロナ禍と戦略的変容における中東情勢

中東セッションでは、バイデン米新政権による核合意(JCPOA)を中心とするイランとの交渉再開の可能性、米国の対中東政策の変容と各国や地域全体の安全保障環境への含意等が主に議論された。イラン核開発問題をはじめ不安定要素の多い中東では、「地域全体の包括的安全保障体制」の構築が重要との点で異論はなかったが、イラン問題にどう取り組むかについては見解が分かれた。

米国の対中東政策は、オバマ政権からトランプ政権にかけて大きく変容した。バイデン政権は従来の同盟国との関係に配慮しつつ、中庸に進むのではとの見通しが述べられた。中東における米国のプレゼンス低下は、米国の「アジア重視」と中東の相対的比重の低下を反映している。そのため湾岸アラブ諸国やイスラエルは米国のコミットメントへ強い懸念を持っているとの指摘があった。これとの関連で、イランの核問題だけでなく、関係する複数の地域問題に同時並行的に取り組む、あるいはそうした交渉に域内の関係国が参加すべき、との意見も表明された。

イラン国内の政治見解・集団は多様であるが、コロナ禍と経済不況を経て大多数が制裁解除を望んでいる。このためイラン大統領選挙前にイランがJCPOAに復帰するよう国際社会の支援が必要との指摘があった。その一方で、湾岸アラブ諸国は米国のイラン再関与が地域バランスに大きく影響を及ぼすとみる。トルコにとってもイランは協力・競合相手であるが、地域全体の包括的安全保障体制の構築の出発点として、JCPOA復帰が肝要という指摘もされた。

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