イベント実施報告

第5回東京グローバル・ダイアログ

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2月28日

『戦略年次報告2023』に関するラウンドテーブル

『戦略年次報告2023』では、世界が、ウクライナ戦争、中東における危機、米中競争という「三正面」に加え、米国内の分断という問題に直面していること、そしてこれらの問題が、気候変動をはじめとする地球規模課題の解決や、機能不全を起こしている国連安全保障理事会などのグローバル・ガバナンス機関の改革を進める上での取組みのための障害となっている現状を指摘した。これらの基本認識をベースに、ラウンドテーブルでは、米国大統領選挙の影響、世界の安全保障体制、各国及び地域の政治状況と対米・対中政策、各紛争の停戦の在り方、将来の国際秩序や国連改革の行方などについて議論が深められた。

2024年は選挙の年とも言え、特に11月の米国大統領選挙の結果が各国や国際秩序に与えうる影響が焦点となった。各登壇者からは、米国大統領選挙の行方は予断できないとしつつ、トランプ前大統領が再び政権に返り咲く可能性も念頭に、同盟関係や安全保障上の影響や対米外交の行方について見解が示された。また、米国史上に時折見られる「内向き志向」が再び台頭していることに対する懸念が表明されるとともに、トランプ政権期の経験を踏まえた対処の在り方が議論された。

安全保障体制については、今回の東京グローバル・ダイアログ直前の2月26日にハンガリー議会がスウェーデンのNATO加盟を承認したことを受けて、北欧の対ロ抑止に戦略的厚みが増したことやNATOとEUのメンバーシップの更なる類似性がもたらすNATOとEU間のシナジーの促進など、今後予測されるプラスの効果が指摘された。さらに、インド太平洋の安全保障を維持するためには、米国の関与を継続させることが肝要であることや、従来の二国間同盟に加えてAUKUS、QUAD、日本、韓国などのミニラテラルな協力枠組みの進展が重要であることなどが強調された。

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