イベント実施報告

第5回東京グローバル・ダイアログ

  • twitter
  • Facebook

2月29日

パート2:安全保障環境の変化と日本の対応 (1) 国家安全保障戦略と今後の課題

本セッションでは、益々複雑化する東アジアの安全保障環境を主題に、中国・ロシア・北朝鮮の接近及び米国とその同盟国との連携について議論された。東アジア地域の安定性を脅かす主要な要因として、中国の野心が最も際立ち、また、ロシアと北朝鮮からの脅威も懸念された。特に、登壇者の中には「専制国家の枢軸」という表現を用いた者もおり、これらの国家間の協力がユーラシア全域の不安定化に寄与しているという認識が広まっていることが強調された。また、韓国及び台湾に対する中国・ロシア・北朝鮮の連携とトランプ再選の影響にも議論が及び、日米韓の抑止力の構築の重要性や米中との経済的相互依存性のリスクなどの課題も取り上げられた。

これらの状況に対応するため、登壇者らは、日本を含む民主主義陣営が国際的な連携を模索すべきであるとして、多国間安全保障協力の必要性及び米国とその同盟国との一貫した安全保障戦略の重要性を強調しつつ、米国を中心とした台湾海峡の軍事バランスの再確立や防衛産業基盤の再構築などの具体的な措置を提案した。トランプ再選に関する懸念としては、同盟関係の弱体化や米国との経済的相互依存のリスク、駐韓米軍の削減などが挙げられ、ロシアと北朝鮮の関係強化及びトランプ再選可能性を踏まえ、日米韓の安全保障協力を一層推進することが重要と指摘された。

また、ルールに基づく国際秩序の維持が、国の大小を問わず、すべての国にとり有益であることが強調された。特に、この秩序が専制主義国家間の分裂を促し、地域の安定性を高める可能性があるとして、ルールに基づく国際秩序の有益性と専制主義国家間の相互不信を利用することが、中国・ロシア・北朝鮮の連携に対抗するための戦略として検討されるべきであるとの意見が出た。民主主義陣営間の協力の推進は、これら3か国による積極的な行動を抑制し、平和を維持するために不可欠であることが確認された。

一覧に戻る